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    鼻血が出やすい吉川

    ##畠中

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    waremokou_

    DOODLE書きかけのネヤネ見つけた!


     私が三毛縞に出会ったのは、夙に夏らしさを見せ始めた五月の中頃だった。その日の夜は、雨続きで冷え込んだ数日前とはうって変わってひどい暑さで、まだ残る梅雨の湿気も混じり合いとにかく、全く不愉快な夜だったと記憶している。ゲオスミンの黴たような空気のかおりが蒸れる夜風に溶け出し、雨嫌い、そして夏嫌いの私にはとにかく、最悪と評するに足るような、最悪の夜だった。いや、それだけならまだ、私はあの日あんなにも苛立ちに行き先を委ねることはなかったかもしれない。

     大きな文学賞を逃した。黒柳誠はもはや過去のものとなったのだと囃し立てる世間の声、意味を含ませすり寄ってくる編集の態度に腹も立ったが、何より腹立たしいのは――その結果を、妥当なものだとどこかで納得してしまう自分に、だろうか。入賞しただけでもいい方だ、黒柳誠はもう〝中堅作家〟ではないのだからキャリアの重みで選ばれなかったのではないか、そんな慰めの言葉さえ自分の神経をめちゃくちゃに掻き乱すような気がした。別に狙った賞だったわけではない。気づいたらノミネートされていたのだと知ったくらいだから、そも関与もしていなかった。無関心のままいればよかったのかもしれない。ただここ最近の――まるで虚の闇を飲み下したような退屈と無気力は、大賞を逃すという、私にとっては新鮮な〝敗北〟により命の灯火まで悪戯に吹き消したような。少し、休みを取られてはどうか。そんなことを言う担当に対しいっそ首でも締めてやりたいほどの怒りも湧いたが、その激情に飲まれるような稚拙ささえみっともなく感じて、結局、何一つ言い返せぬまま暫くの休みをとる羽目になったのだ。
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    recommended works

    other8e

    MOURNING幸せであれ
    ※しじみ食べたことないので食感は検索してみたけど実際のところ知りません
    「嶺二」
    ぼくの名前を呼ぶ声にゆっくり目を開けると、ベッドの端に腰をかけたランランの姿があった。
    「おはよう、嶺二。やっと起きたな」
    ランランはぼくの頬をそっと撫でてふわりと微笑む。少しくすぐったい。カーテンの隙間から射し込む陽の光が、ランランのまだセットしていないふわふわの髪の毛を明るく照らしてきらきらと輝いている。
    「いまなんじ?」
    身を起こしながら聞くと、7時だと教えてくれた。ちょうどいい時間だ。
    体を起こしたものの疲労の残る体はまだ少しだるくて、ベッドの上でぼうっとしてしまう。ランランの小さく笑うような声が聞こえたかと思うと、ぎしりとベッドの軋む音と唇に優しく触れる感触。それにうっとりとする間もなくランランはぼくから離れて、物足りなさを感じて見上げるぼくの髪を大きな手でくしゃくしゃとかき乱した。
    「ちょっとー!」
    「目ぇ覚めただろ?朝飯作ってあるから早く顔洗ってこい」
    「うん」


    着替えは後回しにして、顔を洗って歯を磨いてリビングに向かうと、美味しそうな匂いがぼくを待っていた。
    「わー!すっごい!和食だ…!」
    テーブルには、お味噌汁に焼き鮭に卵焼きが並んでいて、どれもまだ白い 2846