【HQ】asanoya SS③ 西谷の朝は早い。どんなときでも毎日六時きっかりに目が覚めて、隣でぐっすりと寝こけている恋人の無精髭でざらついた頬にキスをする。そしてベッドから静かに出ると、素早く身支度を整えて朝のランニングへと向かうのだ。それから一時間ほどして戻る頃には東峰も起床して、西谷が汗を流している間に寝ぼけ眼を冷水で洗って髭をあたり、揃ってさっぱりとしたところで一緒に朝食を取る。それが弾丸ツアー中に自然と作られた二人の朝のルーティーンだった。
今朝もおはようのキスを交わすと二人は昨晩ホテル近くのスーパーで買い込んだ朝食を広げた。サンドイッチにヨーグルト、サラダなどを平らげながらその日の予定を相談する。すでに前日までに予定が決まっていることが大半だったが、時折どちらかの提案や天候不順、あるいは喧嘩などの理由から計画が頓挫したり、強引に変更されることもあった。
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