魏嬰が小さくなる話 藍忘機が目覚めた時、腕の中にいたのは三歳くらいの幼子だった。まさか夢ではないかと、一度目を閉じ再び瞼を上げるが、やはりぶかぶかの寝衣に埋もれた幼子が眠っている。その顔立ちは本来の魏無羨のもので、疑うべくもない。
彼は以前から姿を変える呪符を発明しようとしていた。失敗した際には藍忘機が女性の姿になった一件も記憶に新しい。つまり今回もその失敗例だろう。
眠っているところを起こすのは忍びなかったが、確かめなければいけない。藍忘機はそっとその小さな肩を揺する。
「魏嬰、起きて」
「……らんじゃん?」
ごしごしと目を擦りながら魏無羨は眠気まなこで藍忘機を見上げた。その姿はとても愛らしく、抱きしめたくなるのを堪えて言葉を続ける。
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