俺が護衛する貴族令息に夜伽を命じられ、溺愛された件月島は護衛対象の尾形から言われたことが理解出来ず、聞き返した。どうか聞き間違いであってくれと願いながら。
「なん、て仰い、ました…?」
「聞いてないフリがお上手ですね。必死に口説いてるのに、つれない人だ」
「口説…?」
「ええ、今晩湯浴みの後に俺の寝所にと」
「…はい…?」
「俺が何を望んでいるのか分かるでしょう?月島さん」
「えっ、と…?夜伽をお望みなら、そういう方を手配致しますので」
「…」
「ああ、ご心配なく。ちゃんと口が堅いものを」
必死に最適案を提案する月島だったが、尾形は無情にもそれを遮った。
「月島さん」
「…はい」
「別に男に抱かれるのは初めてではないんでしょう?アンタは絶対花沢の醜聞になることを吹聴しませんし、丁度いい」
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