赤い靴 その後「菊田さん嬉しい事でもあったんですか?」
電話を切ると部下が声をかけてきた
「…あぁ、ちょっとな…」
今夜はホテルのレストランでも予約しようか
〇〇が喜びそうな雰囲気のいい所を。
昼休憩に予約をしようとスマホをだして
胸騒ぎがした
まさかな
GPS検索を確認すると最寄りの駅で全く動かない
〇〇に何かあったのか…いや、違う…
「おい!」
人事部へ走り宇佐美の移動先と履歴書を探す
「何でどこにもないんだ…
宇佐美の転勤先はどこだ!」
「…それが、もう既に会社をやめているのと…」
「なんだ…早く言え」
「宇佐美と〇〇の履歴書が無くなっています」
「データ位残っているだろ!?」
どうして思い出さなかった…
〇〇の母親は学生の時に他界していると
聞いていた。
PCの画面を食い入る様に覗くが2人のデータが
残っていない。
「あいつら…」
⁂⁂
「なぁ、提案なんだけどさ…」
「…宇佐美?」
ふわりと優しく抱きしめられた
そっと耳元で囁く
〝菊田に何かされても俺がついているから。信じて待っていて欲しい。辛いかもしれない、泣きたくなっても我慢して、時が来たら×××まで来て欲しい。迎えに行くから〟
胸が苦しいと同時に心が温かい
〝だから…〟
シャツのボタンに手を掛けると
ソファに押し倒された
宇佐美に抱かれながらこの人の子供が欲しいと
体の芯から溢れ出す
たとえ菊田さんの子供であってもそんなことは
どうでもいい。