短夜に(仮) 地元食材をふんだんに使ったメニューのある食堂での食事は、陸の願いのひとつだ。
まだまだ食べ盛りの二人が満足できる質と量の食事は、朝と夕の二回に渡り二人の胃袋を満たしている。それぞれ毎回別のメニューを注文してシェアするほど、二人は地元の食堂にしっかり胃袋を捕まれていた。一織に至っては、兄を思い浮かべ罪悪感を覚えながらも箸を止められないほどだった。
ここに来て口にした、採れたて野菜の天ぷらも、美味しい水で打った蕎麦も、具沢山の味噌汁がついた日替わり定食も、どれも二人の口に合っている。すっかり顔馴染みになった店主には挨拶のように「今日もいい食べっぷりだったね!」とついさっき送り出されたところだった。
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