ぼくらのRE:エンドロール 涼やかな風が微かに髪を揺らす。気温は春というには暑くて、夏というにはやさしい。もうあと一週間もすれば梅雨に入るのだろう。平日昼間の駅前はラッシュ時と比べるといくらか呑気で、時間の流れもゆるやかに思える。待ち合わせは正午。午前の仕事から直接待ち合わせ場所に向かったせいで、随分と早く着いてしまった。連絡を入れようか迷ったが、急かしたくなくてやめた。今日はどこへ行こう、何をしよう、何を話そう。なんて思考の浅いところでとりとめもなく考えては霧散して消えていく。そのくせ、頭の真ん中ではもうずっと別のことを考えていた。時計をちらりと見る。確かめるように、心臓に手を当てた。
「ジュンくん」
穏やかな真昼に似合いの、軽やかな声がオレを真っすぐに呼ぶ。
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