貢ぎ物の現パロ宇槇ただいま、と声が聞こえた。
廊下に出ると彼が玄関に立っている。引き出物の大きな紙袋を提げて。
肩まで伸ばしている髪を後ろで一つにまとめ、オーダーメイドのスーツを身に纏う姿はいつもながらなかなかの迫力だ。
街を歩けばモデルをやらないかと決まって声をかけられるほどの美貌。そんな彼も、俺の顔を見ると子供みたいに白い歯を見せて笑うのだ。
「でっかいのが入ってるぜ!」
そう言って差し出した紙袋を受け取る。中を見ると、凝ったデザインの席次表や席札の下に見慣れた柄の箱が入っていた。
なるほど、大きいな。ずっしりと重い紙袋を手に俺は声を掛けた。
「おかえり」
この部屋で二人暮らしを始めて、一年が過ぎようとしている。
『バウムクーヘン・メモワール』
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