【急募】【父親募集】　タケミチは小さな簡易キット見て天を仰ぐ。マーカーが示したのは<妊娠>であった。
　慌てて病院に行けば「おめでとうございます」だ。
　頭が真っ白になり、真っ先にしたのは姿を消す計画？　一人で育てる覚悟？　それは全部外れ。
　真っ先にしたこと……それは
「お父さんになってくれる人を探そう！」
　これである。
　一人で育てるなんて無理だ。子供は金がかかる。1人では育てられない。
　だから、父親になれそうな人にオファーしていくことだった。
「うーん。やっぱりお金って言ったら……ココくんだよね！」
　彼は多忙だから会ってくれないかもしれない。とりあえずメッセージだけ入れておく。
【ココくん……急にごめん、子供が出来たのでパパになってくれません？】
　すぐに電話が鳴る。
「あ、ココくん急にごめん……」
『ボス、俺とのガキが出来たってどういうことだ？』
　こちらの要件を言う前に言葉を遮られる。やっぱり怒ってしまったか……。
「いや、ココくんとの子供じゃないよ！　その、俺子供が出来たけど相手がさ……。ココくんなら一緒に育ててくれるかなー？　なんて……」
『……それ、マジでいってるのかボス？　正気かよ……』
「ううう……ご、ごめんなさい……。ココくん、優しいし、頼りがいがあるから……(金銭的な意味で)」
　やはり、男の妊夫は受け入れられないか……。
「ごめんねココくん。この事は忘れて」
『……ちょっと……考えさせてくれ……』
　1人目はどうやら失敗。このちょっとはちょっと無理のちょっとだ。次！
　次はそうだな。カクちゃんとかどうだろう？　イザナくんに引っ付いているが、責任感と父親らしい真面目さは群を抜いてると思う。
「さっきはいきなりすぎたよな……よし！」
【カクちゃん久しぶり。ちょっと相談があるんだけど】
　本題ははぐらかす。
【相談？　俺でいいなら聞く】
　よし！　早速電話をかけるとすぐに出てくれる。
「あ！　カクちゃん？　今時間大丈夫？」
『久しぶりだなタケミチ。あー、少しなら』
　イザナくんの声がする。あいからわらずそうだ。
「その……、俺さ子供が出来たんだよ」
『はっ？！　あー……おめでとう。結婚するのか？』
「ありがとう。それが……その……」
『そいつとトラブったのか……？』
　不信そうな声がした。
「うー……その、カクちゃんって理想のパパだなーって……」
　言葉が消える。
『俺に……父親になれって言ってるのか……？』
「……うん。だって！　カクちゃん面倒見もいいし（くそわがままイザナのお守りしてるし）、家族想いだし……！！　一緒に子供育てて欲しいと思ったんだよ（金銭的な意味で）」
『なんだよ女孕ませたのか？　だっせー』
『違う……。その話は今度会った時に話していいか？』
「ごめん、いきなりこんなこと言って……空いてる時げあったらよろしくお願いします……」
『連絡する』
　カクちゃんは相談に乗ってくれそうだけど、姑（イザナ）のガードが硬そうだ。これは会っても圧迫面接不可避だ。次！