Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    iz_mife

    @iz_mife

    だいたい今はゴーティエ兄弟。
    兄上に夢見がち。練習とかラクガキ多めです。
    絵のまとめはpixivに→https://www.pixiv.net/users/2916510

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍻 😋 💒 🍎
    POIPOI 84

    iz_mife

    ☆quiet follow

    【付き合ってるけど何もしてない純愛シルアシュ小話。シルヴァンが凄いアッシュくんを大事にして糖度高めです笑
    自プレイ時のグロンダース鷲獅子戦があまりにも熱かったので、シルアシュを混ぜ込んだセルフパロディ。
    1180年の平和なグロンダース平原に想いを馳せたりもしてみました】

    #シルアシュ
    silouache

    「アッシュっ!? お前何してんだよ」
    「えーと、はい。あぁ騎馬隊の人ってシルヴァンだったんですね」
     一緒に戦線を離脱したメルセデスと別れ学級共同の救護小屋の前で、騎馬の装備を外すことも忘れシルヴァンは驚きのあまり声をあげた。
     それもその筈。先ほど投石に当たり搬送されたと聞いていたアッシュが小屋に入りきらなかったであろう負傷者達の救護にあたっているのだ。

    「お前、何働いてるんだよ。投石頭に喰らったっんだろ? 寝てなくていいのかよ」
     出迎えてくれた恋人の存在は、シルヴァンにとっては予想外で嬉しくもあるが、その頭に痛々しく包帯が巻かれているのを見れば、つい口調もキツくなってしまう。
    「もうだいぶ休んだから大丈夫ですよ。負傷者もこれから沢山来ますしベット空けておかないと…」
    「まぁ、そりゃそうだけど……でもさ」
     アッシュの手には治療に使うのであろう布巾を持ったまま、まだ心配そうに眉が垂れ下がっている級友を見上げ労りの言葉がかけられる。
    「シルヴァンお疲れさまでした。大活躍でしたね」
    「おっ……おう。まぁ、それなりにはな」
     いつもの癒されるような笑顔を向けられ、シルヴァンは戦闘で逆立っていた気持ちが解れていくのがわかった。あぁ、無事で良かった。と心の底からホッとする。
    「右手の傷、結構深いですね。大丈夫なんですか?」
     座る場所も無いため、立ったまま右手の平の切った場所を包帯で巻かれる。
    「切られたんですか? ここだけ?」
    「いや、違ぇ……ちょっと自分で槍を廻した時にざっくり切っちまった」
     普段ならば絶対に犯さないようや初歩的なミスだ。アッシュも「それは珍しいこともありますね」と目を丸くしている。
     そう。それぐらい、シルヴァンは一報を聞いた時に動揺したのだ。アッシュ率いる弓兵が配備されたのは防衛の要になる川の目の前。シルヴァンはといえば黒鷲へ攻め込む先陣を任されており、当日の朝から顔を会わすことすら叶わなかった。
     そろそろ黒鷲陣に攻め込むという指示が届いた途端に、教会が配備していた判定員が騒ぎはじめたのに気が付いた。鷲獅子戦は武器や兵法などは本当の戦事の通り行うが、もちろん学校行事のため怪我には細心の注意が払われる。
     各要所に教会が配備した判定員がいて、戦闘を見て優越や戦線離脱を指示しているのだ。だから基本的には怪我といってもみな軽い物だが、丘の上の砲台だけは扱いが異なっていた。
     戦略の要の為使用を禁じられることは無く、殺傷力の低い投石を使用すると事前に通知されていたが、あれだけの飛距離が出る石を頭にでも喰らえばそれこそただでは済まない。
    だからこそ、事前に教師陣からは気をつけるようにと指導されていたのだ。

     それなのに黒鷲のヒューベルトと決戦の直前に後ろの陣営から「青獅子の学級の男子が頭部を投石で負傷したらしい」と漏れ聞こえてきてどれだけ肝が冷えたか。
     本当ならば、すぐにでも騎馬を走らせたかった。叶わぬなら少しでも早く戦闘を終えようと躍起になり勝ちが続いたまでは良かったが、馬鹿な負傷をしてしまったと今さらながら自嘲する。
     はぁっと息を吐いて、目の前のアッシュを抱きしめる。他の学級の生徒数人が驚いた様に自分達を見てくるが構ってなどいられない。今さら隠す気など、さらさら無いのだ。

    「あのっシルヴァン……?」
    「……本当に、無事で良かった。俺めちゃくちゃ心配したんだからなっ」
     突然の抱擁に焦った声をあげるが、直後に友人の喉からようやくしぼり出したような、擦れた声を聞けばアッシュも何も言えなくなってしまう。心配をかけたのだと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
    「すいません。ちゃんと投石注意の笛は警告で鳴ったのに僕の反応が遅かったんです」
    「……しょうがねぇよ、あのベレス先生に最初に目をつけられてたもんな。丘越しでも見えてたよ」
     元傭兵が真っ先に向かったのが橋の向こうの森の奥。天馬を操る彼女ならアッシュ達弓兵から距離を取ると踏んでいたのだが、まさかいきなり攻め込んでくるとは予報外だったと、先程離脱前に少し話したディミトリも苦笑していた。
     そのベレスとの交戦中に、突然標的を金鹿陣営からアッシュに変えたベルナデッタの砲台が見事に命中してしまったのだ。彼女もまさか人に直接当たるとは思っていなかったらしく酷く狼狽していたので、無事を伝えに行こうと提案してやれば、アッシュも笑って頷いてくれる。

     黒鷲の待機陣営に行ってベルナデッタに顔を見せれば、わんわん泣かれて流石に面喰らってしまった。呆れる皇女様に謝りながら、後を任せ丘の上までたどり着けば平原全体が見渡せ、辺りには離脱した生徒達がみな思い思いに観戦をしている。
     その中にベレスと金鹿の級長も見かけたが、なんとなく今は会いたくなくてアッシュの視界から隠し離れた場所へと歩き、適当な場所に腰を降ろす。

     夕暮れ時だが、まだ明るく空気も澄んでいるので今の戦況が一目でわかる。既にどの学級の級長も離脱しており、残るは金鹿の女性陣に黒鷲のペトラ一人の一騎打ち。数節前に金鹿の学級に移ったイングリットがなんとも活き活きと天馬を操っている。
    「すごいなぁ皆。僕なんて最初の離脱で恥ずかしいです」
    「いいんだって。指揮で闘ってるし、配置の問題もあるんだから別にお前個人の力不足って訳じゃねぇよ」
     頭の包帯が巻かれている箇所を避けて、髪を撫でてやれば柔らかく微笑まれる。実際始めて会った頃から比べると本当に強くなったと感心するのだ。
    「僕、さっきも丘の上で君が闘うとこ見てましたよ」
     シルヴァンは単騎でヒューベルトもカスパルも、それに黒鷲の学級が率いる騎馬隊を何人も地面に落としたのだ。
    「……青獅子の学級が優勝してたら間違いなく君が最優秀生徒だったのに」
     少しだけ敗者の悔しさを滲ませるアッシュがなんともいじらしくて、その肩を抱き寄せる。
    「あれはメルセデスが後ろで俺の支援にまわってくれてたから。俺一人なら無理だったよ」
    「でも、凄いです。君の身体から紋章が浮かんで光るのが見えました。本当に一騎当千とは君みたいな戦士のことを言うんだな……て感動しました!」
     いつもは好きでは無い紋章を褒める言葉も、アッシュからならば自然に受け止められる。聴き慣れてるはずの賞賛も、愛する人からの言葉だとこんなにも心地良いものなのかと感動すら覚える。
    「……アッシュのその言葉で俺は充分だよ」

     ひときわ大きな歓声が上がり、周りの生徒達がどよめき出す。教会の笛も鳴り、ここが最終局面。金鹿のヒルダと黒鷲ペトラの最後は完全な力勝負。体力面では、最後まで数が優勢だった金鹿の学級の生徒の方に分がありそうだが、はたしてどうなるか。

    「アッシュ、俺いますっごいお前とキスしてみたい」
    「……え?」
     周りは喧騒に包まれている。士官学校一年の集大成とも言える催し事に相応しく、鬨の音がけたたましく鳴り響く。観戦に来ている帝国のお偉方が引き連れてきた楽器団に、辺りを飛び回る飛龍達も興奮してけたたましく咆哮が浴びせられる。
     大地が、グロンダース平原が震えている。


    「お前が十七になるまで待ったから! 鷲獅子戦終わるまで待ったから!! なぁキスさせて!?」
    「こっここで、ですか?」
     周りの音でかき消えそうになるのを、必死で耳に届けようと叫ぶ。ここまで待ったのだ。青獅子の最優秀生徒ならそれぐらい貰っても良い、何なら残念賞でも良い。とシルヴァンは願った。
     顔を近づけ、頬を捉える。少年の白い肌が、頬が赤く染まっているのは夕暮れのせいだけではないのは分かっている。

    「優勝は多分、ヒルシュクラッセだ! ヒルダが一枚上手だからな!」
    「まだ! 決着ついてません! シルヴァン待ってっこんなに皆いるのに駄目です!」
    「嫌だ! 俺はもう待てないっ! 俺をこんなに心配させたお前が悪いっ!!」
    「……!!」

     決戦は日暮れまでには決まるだろう。
     ヒルダの斧が天高く振り上げられ、地面に叩きつけられる轟音と共に、判定員の笛の音がグロンダース平原に鳴り響く。


    ー1180年の 平和なグロンダース平原での話。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖☺😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    iz_mife

    DOODLEシルアシュ

    【酔っ払いがアッシュくんのおっぱい触らせろ~と騒ぐお話。
    付き合ってはいないけど、好きあってはいる、ふわふわ~っとした関係(笑)】
    「頼む……おっぱい触らせてくれ…」
    誰もが羨む整った顔。優しげな垂れた目尻に、形の良い鼻筋。手入れを怠らないのだろう艶やかな、その唇からあまりにも低俗過ぎる台詞が飛び出し、アッシュは反応がだいぶ遅れた。

    「ねぇ……いい?」
    既に手が、制服の上からだが胸の上に置かれている。
    「触る」という言葉通りならば、もう触れているでは無いかと級友の手の早さに呆れかえる。
    「いや……駄目ですよ…? 離してくださいね」
    「えぇ~!? 何で……? ねぇお願いっ…痛たった!」
    その手の平の皮を、爪先で摘まんでやれば大袈裟なほど身体を捩らせて再び床の上に突っ伏してしまう。
    「あのーシルヴァン起きて下さい。制服汚れちゃいますよ?」
    「やだ。アッシュがおっぱい触らせてくれないと無理……」
    「…女性……の胸……は借りられませんからね。なんか…馬とか連れてきます? シルヴァン馬好きですよね?」
    「……馬なんかやだ! 女もやだよ! 俺は、アッシュのおっぱいを揉みたいの! ついでに言えば吸わせてくれ。それで俺の頭、なでなでしてくれないとやだっ」
    「うわ! 気っ持ち悪っ……君ってそんなこと考えてたんですか?」
    「……思っ 2515

    iz_mife

    DONE【付き合ってるけど何もしてない純愛シルアシュ小話。シルヴァンが凄いアッシュくんを大事にして糖度高めです笑
    自プレイ時のグロンダース鷲獅子戦があまりにも熱かったので、シルアシュを混ぜ込んだセルフパロディ。
    1180年の平和なグロンダース平原に想いを馳せたりもしてみました】
    「アッシュっ!? お前何してんだよ」
    「えーと、はい。あぁ騎馬隊の人ってシルヴァンだったんですね」
     一緒に戦線を離脱したメルセデスと別れ学級共同の救護小屋の前で、騎馬の装備を外すことも忘れシルヴァンは驚きのあまり声をあげた。
     それもその筈。先ほど投石に当たり搬送されたと聞いていたアッシュが小屋に入りきらなかったであろう負傷者達の救護にあたっているのだ。

    「お前、何働いてるんだよ。投石頭に喰らったっんだろ? 寝てなくていいのかよ」
     出迎えてくれた恋人の存在は、シルヴァンにとっては予想外で嬉しくもあるが、その頭に痛々しく包帯が巻かれているのを見れば、つい口調もキツくなってしまう。
    「もうだいぶ休んだから大丈夫ですよ。負傷者もこれから沢山来ますしベット空けておかないと…」
    「まぁ、そりゃそうだけど……でもさ」
     アッシュの手には治療に使うのであろう布巾を持ったまま、まだ心配そうに眉が垂れ下がっている級友を見上げ労りの言葉がかけられる。
    「シルヴァンお疲れさまでした。大活躍でしたね」
    「おっ……おう。まぁ、それなりにはな」
     いつもの癒されるような笑顔を向けられ、シルヴァンは戦闘で逆立 3359

    recommended works