宝物メビには秘密がある。
秘密の宝物――――。
それはドラルク様とジョン様がいない日。
大好きなロナルド様と二人きりになったときにだけ、訪れる時間。
ロナルド様はお気に入りの毛布をもって、メビの隣に座ってくれる。
メビは寒くなんてないのに、一緒に柔らかな毛布にくるんでくれる。
そうして、部屋の電気を真っ暗にして。
メビは天井や壁に星空を映す。
「二人で夜空を散歩しているみたいだ」
そう言って笑ってくれるロナルド様に、
メビは上手にお返事ができないけれど。
気持ちを込めて瞬きを返せば、
メビヤツもそう思ってくれたんだな、なんて。
ロナルド様は笑って頭を撫でてくれるから……。
温度なんて感じないはずのメビでも、
温かいってこんな感じなのかなぁって思えるのだ。
優しくて綺麗な人。
メビに大切な帽子を預けてくれる。
メビの頭を撫でてくれる。
メビをメビとして見てくれる。
メビには命と呼べるものは、
ないのかもしれないけれど。
それでも、許されるならば
メビのこの命に誓いたい。
メビの全部でもって、
ロナルド様を守ると。
メビの……命のような何かが、
尽きてしまうその日まで。
どうか彼に、
健やかな日々を。
優しいあの人の微笑みが、
とわに失われませんように。