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    ちょっと付け足し、正殿

    ………

    「正よ、何か不手際でもあったのではあるまいな」
     父にそのように厳しい声で問われても、正にはなんとも答えようがなかった。志村からの再びの声がかからないまま早二ヶ月が過ぎようとしている。季節さえ秋から冬に移りつつある。確かに、何か不満がなければこのように長期間声がかからぬということはない…と考えるのが普通だろう。
    「いえ…」
    「志村の若は見目は良く、己を律する厳しさと他者への思いやりをお持ちのお方だ。侍として賢人であると民達も声を揃えていうようなお方だぞ。よもや粗相など…」
    「とんでもございません」
     そのように受け答えはするものの、怪しの香を焚いてのまぐわいは正の思考をどろどろに溶かしたので、その間に粗相をしていてもおかしくはない。父の怪しむ眼差しから解放されて廊下をひたひた歩きながら、何があったか思い出そうと必死に脳を捻った。だがやはり何も思い出さな…。
    「…んぅ…」
     正は腕をぎゅうと抱いて、身悶えた。尻の奥がきゅんきゅん収縮し、魔羅がひくりと震える。情事の最中の粗相は一切思い出さないのに、志村の若のさらりとした手の動き、熟れた桃の香のような甘い匂いに浮かされて獣のようなギラギラを携えた切長の瞳、血管が浮いた手の甲、脈打つ硬い怒張ー…そればかりが思い出される。
    「ッ…辛抱、ならぬっ…」
     自分は淡白な方だった筈だ。青海の郷一の美しいおなごに同世代はうつつを抜かしたが、正はそのおなごから大層な恋文を受け取っても適当な歌を読んで相手が傷付かぬように、だが見様によっては袖にした。こなごを抱いてみたいと思わなかったわけではない。健康的な青年ではあるので、おなごの肌や胸や尻には無論目を惹かれることもあった。だがそれ以上にはならなかった。自慰は昂ったときに思い出したようにするだけの生理現象だった。筈だ。
    「んっ、ぅっ…!」
     だが志村に体を明け渡してからのこの二ヶ月、正は殆ど毎日、一度どころではなく自慰をした。ひと月前には尻も弄った。一度してしまうともう際限はなくて、今も、父と話し終えたばかりだというのに自室に飛び込んで長櫃から木製の張形を取り出して、疼く尻を慰めている。
    「ぁぅ…はぁ、はっ…志村殿…」
     何故。何故声をかけてくれない。風習なのだから致し方ない。いつでも、どこでも、呼び出してもらえれば…。
    「しむ、ら、どの…」
     あの目に見据えられたい。あの節の骨の太い指で、頰や首をつぅーっと撫でられたい。あの地から響く深いゆったりした声で名を呼ばれたい。
    「あ、会い、たい…!」
     香による快楽に飲まれて熱に浮かぶ志村の眼差しを思い出しながら、正は今日も一人、自らを慰め達するのだった。

    ……
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