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    5296mithu5296

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    おじじん現パロ
    攻めフェの話の続き
    ここはまだr18ではないけどキリが良いところまで書けたのであげます。

    五月一日は仁の誕生日である。
    昼間は高校の友人達がカラオケでお祝いをしてくれたし、夕方帰ると父と母とメイドが夕食パーティーを開いてくれた。
    朝から夜までお祝い尽くしで有難いながら疲れが出て、仁は早めに布団に潜り込んだ。
    薄暗い部屋の中、ふかふかの掛け布団からひょいと顔を突き出して、天井を見る。
    まだ二十二時、時折近所の車が窓の外を通り、カーテンの隙間から入るか細い明かりがちらちらと白い天井で踊るのだった。
    こっくりこっくりして幸せを感じながら、だが仁は、物足りない気持ちでもあった。
    伯父で恋人の志村と過ごさない誕生日は、実を言うと物心ついてから初めてである。
    志村は自身が会長を務める貿易会社の外せぬ出張で、今夜シンガポールから戻る予定だった。
    仁は枕元のスマホを引き寄せ、タップした。
    暗闇にぽっと浮かぶ、志村とのツーショット。
    年度末から志村はずっと忙しくしているので、デートらしいデートをしたのは国宝の寺に夜桜を見に行ったのが最後である。
    その時撮った自撮りのツーショットで、自分は満面の笑み、志村は微笑を携えている。

    「…伯父さん…」

    指の腹で、志村の頬を撫でた。
    志村からはメッセージも来ていない。
    もう飛行機はこちらに着いているだろうに。
    忙しいのだろう。
    仁は目に垂れてきた前髪をさっと搔き上げ、溜息を吐いた。

    「……お祝いメッセージ、欲しかったな…」

    明日の午後、志村の屋敷でバースデーパーティはしてもらえる。
    だが仁は今、日付が変わる前に、志村からおめでとうと言って欲しかった。
    今日で十八、大人になれた気がする。
    志村に近付けた気がするのに。

    「伯父さん…」

    声が聞きたいなぁ。
    会いたいなぁ。
    ぎゅっと抱きしめてほしいなぁ。
    …仁は液晶画面の中で変わらない微笑を浮かべ続ける志村に頬を寄せて、そのまま眠りについた。 

    ………
    ……


    ♪〜〜

    「……はい……さかい、です…」

    着信音を立てたスマホに触れることは難しくなかった。
    仁はスマホを手にしたまま寝落ちていたからだ。
    相手を確認せずふにゃふにゃした声で目を閉じたまま受け答えをする。
    電話口の相手は少し黙ってから、ゆったりと低い腹に響く声で言った。

    「…もう寝ておったか」

    仁は目を閉じたまま、うぅんと唸って寝返りを打った。
    電話相手がくすっと笑う気配がした。

    「すまん。ゆっくりおやすみ」
    「……あぃ…おやすみ、なさぃ…おじ、さ…」

    …伯父さん?
    伯父さん!?

    「ッ…あっ!待ッ!伯父さんっ、ですかっ!?」

    切らないで!!…の願いが通じたか、通話は途切れていなかった。
    また電話口でくすくす笑う声が聞こえたかと思うと、鼓膜を擽るような志村の声が聞こえてきた。

    「今日は随分と早い就寝だな」

    仁は頬を赤らめた。
    上体を起こし、ベッドサイドの電気をつける。
    子供部屋というにはあまりに広すぎる部屋は、仄かな暖色の灯りに満たされた。
    目が慣れず、少ししぱしぱする。

    「朝から皆が祝ってくれて…」
    「そうか。よかったな。楽しかったか?」
    「はい。あ、いえ。でも…。伯父さんがおられなかったので、その。…伯父さん、もう日本に?」

    どうしておれの誕生日に出張なんか入れてしまったの、と、子供じみた非難に取られかねないと思い、話を変える。

    「九時頃に空港に着いた」

    仁は一瞬スマホから耳を離して時間をさっと確認した。
    二十二時半…うとうとしていたのは三十分程度のようだ。
    すぐに耳に当て直すと、カチカチカチカチと聞き慣れた音が微かに聞こえてきた。
    車の指示器が明滅する音だ。
    志村はスピーカーに繋げて話しているのだろう。

    「寝ているところすまなかったな。声を聞きたくなった」

    仁は身体が蕩けそうになった。
    うっとりと志村の嬉しい言葉に聞き惚れる。

    「……おれも、伯父さんの声聞きたかったです。明日までなんて待ちたくなかった…」
    「…仁…」
    「今すぐ会いたいです…会って、抱きしめてほしいです、伯父さん…」
    「我儘な子だ」

    志村の声は面白がっていた。

    「仁」
    「はい」
    「…窓の外を見てご覧」

    仁は素足をベッドから下ろし、絨毯を踏んだ。
    窓辺に寄って出窓に手をついてカーテンを開くと、庭を挟んで塀がある。
    玄関から伸びる煉瓦道には街灯の明かりが伸びて、闇夜に赤く浮かんで見えた。
    門の向こうに車が停車している。
    見慣れた高級車が。

    「ッ!」

    仁は息を詰めた。
    運転席のドアが開いて、スーツ姿の志村が降りてきた。
    こちらの窓を見上げて、左手を挙げている。

    「ーーーーーッ!!」

    仁はスマホを握りしめたまま踵を返した。
    ドアを開けて廊下に出ると、階段をとたとたと駆け降り、最後の三段は飛び降りた。
    リビングからテレビの音が聞こえるので両親はまだ起きているらしかったが、声はかけなかった。
    適当なスニーカーに足を突っ込み、玄関ドアを押し開く。
    赤い煉瓦道の向こうに、丁度門を開けた志村が立っていた。
    仁を見、目元を優しげに綻ばせる。

    「さぁおいで。仁」

    お前が望んだだろう?と言わんばかりに両腕を広げて待ってくれている志村に向かい、仁は駆けた。
    もうすっかり眠気など吹き飛んでいる。
    志村が会いに来てくれた喜びがふつふつと興奮に変わり、爆発して、愛しさに溺れて息が苦しい程だった。

    「伯父さん!」

    志村の脇の下に腕を差し入れて抱きつくと、耳元で志村が吐息を漏らして笑った。
    温かい手が仁の頭を抱き、腰を引き寄せる。
    仁はすんすんと鼻を鳴らして、志村の首筋の匂いを嗅いだ。
    ミドルな男の嗜みと言うべきか、オーデコロンの程よい香りと一日働いた汗の匂いが混ざり合い、仁は腰が砕けそうになった。
    だが志村が抱いてくれているので、無様にへたり込むことはなかった。

    「…伯父さん…♡」
    「すまなかったな。今年は一緒にいてやれずに」

    仁は鼻先を志村の首元に擦り付け、首を左右に振った。

    「構いません…。お疲れだというのに伯父さんが来て下さった…」

    胸の奥が、腹の奥が、きゅんきゅんとした。
    若いが故、志村の熱をもっと欲しいと身体が求めている。
    仁はすぅぅっと志村の香りを吸い込んで肺胞のひとつひとつにすっかり行き渡らせてから、顔を上げた。
    今度は志村の鼻先に自らの鼻先を触れ合わせる様にして、志村を求める。
    だが志村は頭を抱いていた手で仁の唇をぷにっと押し返した。

    「お前の両親に見られるやもしれぬ」
    「…伯父さんとキス、したいです…」

    仁は志村の首に腕を回して、ぶら下がる様にして甘えた。

    「伯父さん…キスしましょう?」
    「……」

    志村は孫の我儘に困りつつも喜びを感じる祖父のように微笑を浮かべ、ちらっと仁の背後に目線を伸ばした。
    そしてくっと体を倒したので、仁はキスがもらえると思い、目を閉じた。
    だが志村の唇は仁の耳元に添えられた。
    だからと言って仁がガッカリすることはなかった。
    もたらされたのは、キスより嬉しい言葉。

    「…我が家に泊まりに来るか」
    「ッッッ!!」

    仁は言葉なく志村にぎゅぅぅっと抱きついて、何度も何度も頷いた。
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