「ルイ、今日はもう休め」
「え?」
二人きりの執務室で仕事に励んでいれば、不意に将校からそう声をかけられてルイは首を傾げた。いつも通りに書類の処理を手伝っていただけなのに、一体どうしたというのだろう。心底不思議そうな声を出したルイに、ツカサは短く息を吐いた。
「顔色が悪い。それに、誤魔化せているつもりか?……目が全然笑えていないぞ」
ツカサはその、本心を隠すように貼り付けられるルイの笑みが好きではなかった。まだ腹の探り合いばかりをしていた地下牢の頃を思い出してしまって、折角素直に気持ちを吐露出来るようになったのにと悔恨に塗れてしまう。
ルイの方はそれを無自覚に行っていたのか、自身の頬や口元に手を当て考え込んでいた。
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