くろねこすーつがさんにんできた『お前は我の代わりにクッキーを作ろうとしてくれていたようだな』
「ポーさんがメインで作ってくれて俺は手伝いだけどな」
十月三十一日、分館にて白を基調とした魔法使いの服装をしている『くま』に直木は答えた。直木は着物姿であったが、
『やる』
ぽい、と衣装が放り投げられた。直木は受け取る。
”作られた”衣装は着ようとすれば着られる。
「黒猫耳スーツ姿ってどんな組み合わせだよ」
『礼だ』
「いいな! 直木さんとおそろいの衣装、衣装!!」
「衣裳」
『そこの黒くてでかい方はクッキーを食べすぎたから作らん。芥川は働き次第か』
「頑張るよ」
『くま』が手に持っているマジカルステッキをぶんぶん振っている。
「……お揃い」
「案内人の衣装に猫耳をつければいい。それなら作れるよな」
『猫耳カチューシャなら作ってやろう』
配る予定の帝国図書館前線基地稼働記念クッキーをラヴクラフトが食べつくしたことを根に持たれていたが、カチューシャは作ってくれるらしい。
そして。
「猫が三匹だな」
「ねこ」
「ハロウィンだよ」
黒猫仮装の三人がいた。