おいしいものアンソロジーの原稿を執筆しないかと誘いがかかってきた。報酬も出るそうなのでエドガー・アラン・ポーは書くことにした。
「ここまでは書けたな」
予想よりも書けなかったけれども、書いた。
自室でポーはひたすら原稿用紙に文字を書いていた。
ベッドの上には黒猫のくろみつが丸くなって寝ている。
季節は春。
昼頃は暖かい。
夜になれば寒くなってしまう。
「ポー様」
ドアも開けずに従者であるラグクラフトがポーの部屋に現れる。左手に壺を抱え、右手には白い皿。上に載っているのは
「スコーンとジャムか」
「野イチゴ、ジャム。食堂、ありました」
焼きたてらしいスコーンが二つに別の皿には野イチゴのジャムが盛られていた。
「私にか」
「はい。ポー様」
ラヴクラフトはポーに食べさせるために持ってきたらしい。この従者は前に大量の甘いものをポーに差し出してきた。胃もたれしつつも食べた。
これは胃もたれの心配はないが、
「紅茶が欲しいところだ」
「淹れます」
「うむ」
「私。食べました。ポー様。食べさせます。のいちごジャム、スコーン」
ポーは従者が持ってきたものを受け取ることにして休憩をはさむことにした。