あにといっしょ桐生ヒマリは右手にスーパーの袋を持ち、義兄が舞っているところへと行くと義兄である桐生ダイゴは波止場の防波堤に座り、クレヨンで楽しそうに絵を描いていた。
「日本に来るとは思わなかった。いきなり飛ばされたし」
「いつかはお前を連れて行こうとは思っていたからな。それが今になっただけだよ」
ヒマリは日本よりも海外で暮らしていた方が長い。彼女は右手に持っていたスーパーの袋を見せる。
「買ってきた」
「飯はちゃんと食わないとな」
「日本はごはん。豊富」
「いろんなものを食っとけ。俺も食うから」
彼女は食にそこまで頓着しない。しないときはしないのだが、ダイゴは無理のない範囲で食べろと言ってくるし一緒に誰かと食べるならばそれなりに食べる。
義兄が描いていた絵はピンクや緑、青や黒のスーツを着た男女の絵だ。離れた距離でいるが無視しておく。
義兄含め、彼等は世界を守るヒーローたちでヒマリはその手伝いをすることにはした。
「――日本に来られてよかった」
「ああ! 楽しいことも面白いこともまだまだたくさんあるからな」
出会ったあの日から、ずっとこうやって励ましてくれるダイゴをヒマリは眩しいと見つめる。
日本の生活は何とかしつつも、故郷に来られたのは嬉しい。
「ダイゴは自分は描かないの」
「描くか。ヒマリは」
「”画伯”って言われるから嫌」
「個性があっていいと想うけどな」
スケッチブックの絵について言えばダイゴは自分を描こうとしていた。五人のヒーロー、バラバラだけれどもどうなるかとなりつつもダイゴがいれば何とかなるだろうとヒマリは気楽でいた。
ヒマリはダイゴのことを信じているのだ。