バランスとりあえず、適当にお相手してお帰り頂こう、と思いながらも、どうもかわせない。
見た目も中身も魅力的な人だとは思うけれども。
私の好きな人はただ一人だけ。
それは変わらない。
私の好きな人は真っ青な空に消えた勇者。
いや、違う。
南の島で厳しくも大切に育てられ、優しくて純粋で、強い勇敢な男の子。
私より背が低いし、年下で勉強も苦手、難しい話なんかできやしない。
でもお日様の匂いとそんな笑顔。側にいてくれるだけでどこか気持ちが和らぐ。
「姫、どうされましたか?」
これだ、似ている。優し気な瞳。
限りなく透明に近い、でもうっすらと彼が育った島のような海と空の色。
目が彼に似ている。
「なんでもありません、ただ、あなたに少し似た人を思い出したのです」
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