二人だけのクリスマスパーティー部屋のあかりを落として、唯一の光源であるあんどんに照らされている鶴丸がなんだか得意気な顔で聞いてくる。
「今日は何の日だと思う?」
つい先日クリスマスは終わったところだし、大晦日も、正月も、まだ数日先。
まさか、俺と鶴丸が付き合った日だったろうか?
いや、俺たちが付き合ったのはこんな寒い時期ではなかったな。
「お手上げかい?」
「参った」と、両手を上げて降参のポーズをとる。
「なんと、今日はとりの日だ」
「とり?」
鶴丸は鶴だから、鳥といえば鳥ではあるな。しかし、なんで鳥?
「今日は28日だろ。にわ、とりの日でとりの日だ」
「あぁ、なるほど。だが、とりの日だと何かあるのか?」
「クリスマスにチキンを食べたの覚えてるか?」
「あぁ、美味かった」
うちは大所帯だから一人一本ぐらいしか食べられないのが残念ではあるが。
「あのチキン屋が、とりの日は、お得なセット商品を発売している」
「なんだと!?」
「しかも、クリスマスが終わったあとは、散々鳥を揚げた油を入れ換えるから、またチキンがうまい」
「なんでもっと早く言わないんだ。買いに行こうにも、もうこんな時間では閉まってるぞ」
なにせ、すでに風呂を済ませて寝ようというような時間。もう店はとっくに閉まっている。
「だから、買っておいた」
じゃんと、暗がりから鶴丸が白い箱を出してくる。
「でもって、この間のパーティーのときにくすねておいた、しゅわしゅわするブドウジュースもある」
用意していたらしい、足の長いガラス製のグラスに、目の前でジュースがとくとくと注がれていく。
「鶴丸、あんた、なんて悪いやつなんだ!」
俺が抱きつくのを、手にしていた瓶とグラスをうまくよけて鶴丸が受け止める。
「あぁ、悪いついでに、今日は布団の上にねっころがってチキンを食いながら乾杯しようぜ」
くすくすと鶴丸の笑う声が耳をくすぐった。