小さな悪魔様「おい」
嘆きの館の廊下を歩いていると、どこからともなく聞き覚えのある声が聞こえてきた。自分はその声の主を探して辺りを見渡す。
「……あれ?」
どれだけくるくる首を回して探しても、その声の主は見つからない。サタンの声が聞こえたような気がするのだけれど、自分の身長よりも高いはずの彼の姿が見当たらない。
空耳だろうか?
そんなことを考えながら、自分は再び歩き出した。
「おい」
再び、サタンの声がどこかから聞こえてきた。辺りを見渡すが、やはりどこにも見つからない。
「サタン? どこにいるの?」
「こっちだ。チェストの方を見ろ」
その言葉にチェストの方に視線を向ける。すると、悪魔姿の小さなサタンがチェストの上でピョコピョコと飛び跳ねていた。その姿を見た自分は思わず目を見開く。
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