満たすもの「自愛のカリスマよ」
「なんだ、内罰のカリスマ」
「貴様は何故、我に触れるのだ。鏡が見にくいだろう?」
そう訊ねる内罰のカリスマは、椅子に腰掛け鏡を見つめる自愛のカリスマの腕に包まれていた。ご丁寧に、美しい彼に傷がつかないよう、棘の生えた襞襟を無断で脱がしてまで抱えられる理由が内罰のカリスマには分からなかった。
「分かりきったことを訊ねるな。我はただ我の思うまま行動しているだけだ」
自愛のカリスマの視線はぶれることなく鏡に注がれている。その口から出た言葉は内罰のカリスマが訊ねたかった意味とは違っていたが、追求することはなく、その手に頭を撫でられながらその横顔を見つめていた。
「……そうか」
「貴様もしたいようにしたらいい。このまま我に抱かれているも腕を振りほどくも、貴様次第だ」
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