サウナはいいよなぁ。
汗だくの背をぐんにょりと壁に預けて、腰タオル一枚姿のペンギンは思った。見苦しいと言うなかれ。水を打たれてもうもうと熱気を上げる焼け石に蒸されている人間にとっては、これが正装である。
年の大半雪に埋もれた故郷を持つ彼にとって、サウナは懐かしく親しみ深い。風呂だって好きだが、どれだけ湯に浸かってもあっというまに凍えてしまう冷え込みのときだってサウナの熱は体に残ってくれるのだ。おまけに汚れも浮いてするりと落ちる。
「……ここ、アレねぇのな」
ペンギンの隣で入れ墨の肌を顕にし、彫像みたいな顎のラインに汗を伝わせた船長は、気怠げに手首をスナップさせて見せた。
「あぁ、叩くのなー。この辺、生えるんですかね」
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