諸行無常凹凸の歪な地面に打ち付けられて、痛みよりも先に憎しみが前に出て来た。
歯を剥き出しにして、おぼつかない足を奮い立たせて立ち上がる。揺らぎながらも足を踏み出す。
(いやだ…絶対にいやだ……)
今までで一度も感じたことない胸の奥にある炎に火がついた感覚がした。
泥に塗れた顔を着物の袖で拭い視界を広げる。せっかく兄が新調してくれた着物だったのに、と心の奥の自分が呟いが無視した。
広がる世界は焼けた土の匂いが充満しており、思わず息を止めてしまった。
本来ここには一面の森だった。草木が溢れ、動物も沢山いたはずだ。それなのに今は燃えたぎる炎が何もかも焼き尽くし、残っているのは焦げた死体と灰だけ。真っ黒な顔をした誰かは僕の知る人だったのだろうか。焼けたせいで性別もわからない。
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