きみはぼくの、“大事な人と一緒に行きたいBEST SPOT”
ビリーくんが見ている雑誌の表紙には、賑やかな色でそんなキャッチコピーが踊っている。
その横顔はいつになく真剣で、ただ流し見という感じではなく、実際に誰かと行くことを考えているように思えた。
ゴーグルを上にずらし、綺麗な青い瞳を釘付けにして、時折ひとり頷く。
彼にこんなに熱心に考えてもらえる幸運な相手は、誰なんだろう。
少しだけ、いや、かなり羨ましい。
「ねーねー、グレイ。ちょっとコレ見て」
「!う、うん」
「コレとコレならどっちがいい?」
「…えっと」
どんな人なのか、とか、どこで知り合ったのか、とか。
意見を言うついでに相手について聞けるところなのだが、聞きたくないと思ってしまう。
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