11月7日12:01
死後の世界なんてないと思っていた。
人は死んだらそれまででもう二度と会うことなどなく、ただただ消えるものだと思っていた。
「あれ?じんぺーちゃん!?」
聞き覚えのある声がする。
その声の方へ向けば、
「来るのが早ぇよ〜もうちょっとあっちで楽しんでたっていいんだぜ?」
そう言う顔は少し歪んで見えた。
ふと萩原が俺を抱き寄せる。
再会の場面だ。よくあるやつだ。
「忘れないでいてくれてありがとう」
あぁ、もうだめだ。
「忘れるわけねぇだろ……お前のことも、お前との約束も…………………」
声が掠れていく。
「すまねぇ………………約束……………守れなかった…」
萩原はただ俺を抱きしめるだけだった。
急に身体を離され肩を強く握られる。
驚いた顔をしていれば、
「俺、松田の泣いてる顔初めて見るかも!!!」
「んなこたァねぇだろ?それを言うなら俺も萩の泣いてる顔初めて見たかもな」
「えぇ!?そうかなぁ」
会話が途切れる
「待ってるのってさ、やっぱ寂しいよなぁ。会いたかったよ、松田」
「………………れも…………」
「ん?」
「お前が居ねぇとつまんねぇんだよ。
………………ッ俺も……会いたかったよ。」
萩が笑う。つられて俺も吹き出してしまう。
「またじんぺーちゃんと一緒か〜」
「なんだよ、嫌か?」
「んや?楽しそうだと思ってよ」
「そんじゃ!そろそろ行くとしますか!みんなを見守りに!」
そう言った萩は俺の手を取り眩しいほどの笑顔を見せるのだった。