育手の情報漏洩書きたかったらしい 隻腕の育手がその兄弟に出会ったのは、雪も解けぬ春先だった。
特に春先は弟子入りが多い。冬の夜長に鬼に襲われた後、あてどもなく流離って、運良く生きていれば人里離れたこの場所に辿り着く。そしてこの、難のある育手の元でも、子供達は好奇心を抑えられず、新しい弟弟子が来る度に揃って顔を見せる、この時もそうだった。
「……貴方が、鬼狩りと聞きました」
そう言ったのは青年の方で、即座に育手を失望させた。どう見ても十代後半、下手をすれば二十だろう、鬼殺隊を始めるにはトウが立ちすぎている。顔立ちも今まで見てきた中でも飛び抜けて優しい作りで、心根もそうだと一目見て分かる青年が、到底厳しい鬼殺の任に堪えうるとは思えない。
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