ちょぎさに「さっきからずっとかっこいいなと思って見ていたんですけど、一人ですよね? もしよかったら、近くのカフェでお話しできませんか?」
私がカフェで買ったコーヒーを両手に待ち合わせ場所に向かうと、山姥切長義が逆ナンにあっていた。
私が知るナンパといえば目当ての人物の端末をその場でハックしてメッセージを送ることだ。なので、彼女のように正々堂々と正面から目当ての人に声をかけてアプローチするのは激烈で大胆でクラシックな手段であり、それをこの目で拝めるのは知的好奇心が満たされて、面倒極まりない今回の任務の苦労なんて吹き飛んでしまうほどの異文化体験であった。
彼女はこの時代の流行だろうレースのマキシ丈スカートの裾をふわりと揺らして足首を見せつけて長義にアピールをしている。長義はスカートから覗く白くて細いきれいな足首にも自分に向けられる爛々と輝くまなざしに眉根を寄せて渋い顔をしている。抱いた不快を隠すつもりもないくらいうんざりとしていた様子だ。
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