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    sajinage1373

    @sajinage1373

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    sajinage1373

    MAIKING流川の姉で仙道の高嶺の花
    「流川さんのお父さんって怖い人?」
    「お父さん? お父さんが怖いってことはないと思うけど」
     隣の席の仙道君からの質問に私は思わず聞き返してしまった。
     父をはじめ家族のことなんて仙道くんはもちろんこの学校の誰にも自分から家族について話したことはない。
     どうして父のことを尋ねて授業もそっちのけで仙道くんに聞いてみると事のあらましはこうだった。
     夜、私の家に電話をかけると男の人が出て、私の名前を出すと「いない」という不機嫌な一言とともに電話を切られてしまう。それが一度のみならず二度三度と続いている。
     不可解な出来事に私は首を傾げるしか出来なかった。
     なぜなら私の父はほとんど家にいることがない。平日は仕事のために私より早く家を出て、私が布団に入るかどうかの遅い時間に帰ってくる。仕事のない土日も接待のゴルフや麻雀だの何かしらの用事があってでかけている。同じ家で暮らしていながら顔を見るのは一週間で片手で足りるぐらいだ。そんな調子なので私の友達付き合いについて何か言われたこともない。きっと私の友達の名前を一人でも覚えていることもないだろう。だから仙道君が言うように、父が家にかかってきた電話を切る理由もないし出来るはずもないのだ。しかし、起きていることの原因に思い当たるものはなにもなかった。それならやることは一つしかない。私は先生にバレないように仙道君の方に椅子をずらして、彼にだけ聞こえるように声をひそめた。
    1911