少しでも長く一緒に居たい「兄上、ここに軍着の内容をまとめた資料を置いておきますね」
「ああ、ありがとうスタルーク」
そう言ってスタルークは、腕に抱えていた大量の紙束を執務机に置いた。机に向かって筆を進めていたディアマンドは、資料の1枚をめくり目を通しながら、ちらりと横目でスタルークを見つめる。
「それでは僕はこれで失礼します」
一国の国王であるディアマンドは何かと忙しい。大好きな兄であり、一生を誓ったパートナーである彼ともう少し一緒にいたいところだが、多忙な彼に迷惑をかける訳にはいかない。そう考えスタルークはいつも、用事が済むとすぐに部屋を去ろうとする。
「…………」
今日もまたすぐに部屋を出ていこうと踵を返したスタルークの背を見つめ、ディアマンドは口を開いた。
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