触れた熱が冷めない内に【ガイ蛍】じりじりと焼け付く日差しの中、蛍は西風騎士団の本部へと向かっていた。普段は忙しなくやれ任務だ人助けだお届け物だと動き回っている蛍が任務関係なく西風騎士団を目指すのは、可愛らしい友人の願いを叶えるためだ。
西風騎士団の火花騎士クレーから手紙が届いたのはつい先日のこと。冒険者協会の依頼を受け、璃月や稲妻へと飛び回っていたため、久しく会っていないクレーが痺れを切らし、要約すると「次はいつモンドに帰ってくるの?」といった内容の手紙を送ってきた。
久しぶりにモンドの味が恋しくなったと騒ぐパイモンと、手元には「いい子にして待ってるよ」といったなんともいじらしい手紙。蛍の足がモンドへと向かうのは必然であった。
「クレー、久しぶり……?」
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