続きはコーヒーと共に「本題に入る前に、アーカーシャ端末の基本的な知識について記そう。まず、この…ん?えっと、この、この……、は云々…」
「読めない文字があったからと言って飛ばすのは良くない。調べろ」
「……後でそうしようとしてたの」
バレていたか。
私は、隣で次から次へと読み終わった本を積み重ねていく彼──アルハイゼンを見て頬を掻いた。三時間ほどしか経っていないのにも関わらず、少し…いや、かなり厚みのある本が既に五冊積まれていた。
「分からないものを分からないまま進めるな。特に、文字など辞書を引けばすぐに理解できるじゃないか。なぜしない?」
「ああもう、する!するから」
喚いた私に呆れたのか満足したのかは知らないが、顎に指を添えながらアルハイゼンが唇を動かしている。かなりの小声でよく聞こえないものの、おそらく興味深い一文を見つけたのだろう。こちらへの関心を一切失ってしまったに違いない。
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