参謀について考える ぎち、と縄の軋む音が聞こえる。その縄は司くんの手首に一周二周と、蛇がとぐろを巻くように縛られていて、なんとも禁欲的な気分にさせられた。司くんの手首を拘束しているのは他でもない僕なのだが、もちろん演技でやっていることであって、決して僕の趣味などではない。司くんも身じろぎをして抵抗する様子を見せた。それもシナリオ上の設定でやっていることなのに、どうにも煽られてしまう。理由は、性癖が単に拗れてしまったのか、それとも僕が司くんのことが好きだからか、それはどちらとも言い切ることができなかった。
見上げるように顔を上げた司くんと視線がかち合う。その瞳は、こちらを真っ直ぐと見据えていて、汚れを知らない。
「っ……」
1185