叡智が芽吹く時「────……俺が、貴女の跡を?」
「えぇ」
確認していた資料から顔をあげる。彼女はこれからシティに行くと言う様に俺に告げた。
視線を彷徨わせる。彼女が告げた言葉を理解するために思考を続け、最終的に出てきたのがそんな言葉だった。
「どうして」
「貴女が適任だと、私がそう思ったからよ」
彼女は「ふぅ。少し疲れたわね」と目を通していた資料を机に置いた。
しばらく無言が続く。彼女と俺との間で流れる無言などなんとも思わなかったのに、今は少し居心地が悪い。
「先の戦争で、スメールだけでなくテイワット大陸全土が傷ついたわ」
「………」
「世界樹も……そうね、次に繋げるために芽を出さなくてはならない」
「………その芽に、貴女がなると?」
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