1/2ずつのこころ「ささささ寒……っ」
いつの間にここにいたのだろう。
ガタガタと身体が震え、目の前には雪国ならではの白い風景が広がっていた。さっきまでミスラと西の国にある魔法使いの雑貨屋にいた……はずだった。臓腑まで凍えるような痛いほどの冷たい空気に、歯がガチガチと鳴る。辺りはどこまでも白一色で、まるで色のない世界にでもいるようだった。
「こここ、ここはっ、どど、どこ?」
どもりながら問いかけた声は、しんしんと降る静寂の世界に飲み込まれるように搔き消えた。北の国であることは間違いないだろう。見渡す限り木々も建物も何一つなく、少し離れた真っ白な雪原の中にただミスラが一人で佇んでいるだけだ。
「……ミスラ?」
自分の声も雪が埋めていく。ミスラはゆっくりとこちらを振り向いた。
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