君があまりにも優しく笑うから一瞬で釘付けになる。
男だらけの騎士団でアイドルだと持て囃されている彼はちょっと小柄で獣人なだけだ。
可愛いだの綺麗だのの褒め言葉は男に贈るものではないと本気で思っていた、その時までは。
普段はクールで物静かで笑顔など見せない彼が誰かと笑いあっている。
綺麗、だと思った。
そう、綺麗という表現が一番しっくり来たのだ。
太陽に煌めく銀色の髪も、頬を赤らめて相手を見上げる横顔も。
見惚れていると相手が彼の耳を触り始めた。
おい、うちのアイドルに触れるな。うちのアイドルはな、耳としっぽを触られるのが嫌いなんだぞ。
小柄なせいで舐められやすいのか、触ろうとする団員の気配を察知すると「触らないでください」と冷たい視線を浴びせていたことを思い出す。
後方彼氏面しながらうんうん頷いていると、当の彼は拒絶するどころか受け入れ、擽ったそうに笑う。そして。
目を瞠った。
瞠るしかなかった。
だって彼はつま先立ちで自分から手を伸ばして口付けをしたのだ。
できたばかりの清純なアイドル像が粉々に砕け散っていく。
推しアイドルのベッド流出写真見るのってこんな気持ちなのかな(違う?)
二人の口付けは深くなり、彼の頬はさらに染まって、目を逸らしたいのに逸らせない。
ここまで来たら見届けたい自分もいる。
推しの熱愛がなんだ、オタクなら祝福するべきだろ!
相手まで愛せとは言わないが推しの選んだ相手なのだ、きっと悪いやつではないはずだ。
そう言い聞かせたものの、推しの相手が数日後、別の男と口付けしている場面に遭遇して頭を抱えることになるとは……。
終わり
モブ視点→獣人くん
創作くんの前ではニコニコだけど、交流ない人から見るとクールめに見えるのでは?と。
2025/01/13