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    nnmnchudock

    @nnmnchudock
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    nnmnchudock

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    猪七猪ファンタジーパロかきかけ
    西洋ファンタジーふうなのに名前がニホンジンなのは仕方が無いので目を瞑って欲しい…

    猪七猪ファンタジーパロディ「ん?」
    仕事を終え、売れ残りのパンを片っ端から買い占めて家路を急ぐ猪野の神経に何かが触れた。
    ひしめくように違法建築を重ねた家と家の隙間とも言える細い路地。そこからなにか妙な物音が聞こえた。

    すっかり日は落ちて、大通りすら人はまばらになっている。そんな時刻に細い路地に居るものはろくなものじゃない。
    もう仕事は終わっているし、気づかなかった振りをして通り過ぎるべきだ。きっと首を突っ込めば手に負えないことになる。
    そんな予感がひしひしとするのに、路地裏への入口を十二歩通り過ぎたところで足が止まってしまった。

    ──あの騎士さまならどうするかな。

    ふと思い浮かぶのは金の髪をした騎士の姿だ。
    幼い頃魔憑きだと罵られ足蹴にされていた猪野を助けてくれた清廉な騎士。
    あの名も知らぬ騎士さまなら、きっとみぬふりなどしないだろう。なんのために兵士になったんだ、彼みたいに誰かを助けたいと思ったからでは無いのか。

    「…………っし」
    猪野は踵を返し暗い路地へと足を踏み入れた。

    ガス燈も魔素燈もない汚れた路地奥から腹の奥に響くような胴間声が聞こえた。複数の男たちが誰かの上に馬乗りになって何かをしているらしかった。
    うへ、と猪野は嫌な顔をしてからキリリと顔を作り直して声をかけた。
    「アッレー?北区の商会に飼われてるワンチャンたちじゃん。よってたかって弱いものいじめは見過ごせないなー」

    余計なことをしているという自覚はあった。
    違法建築を重ねて広がった貧民街の無法地帯。その路地の更に奥なんて入るものじゃない。
    そこはただ貧しいものが住まうところではなく、比喩表現なしに後暗いものたちが根城にしている場所だからだ。

    「……イノかよ。俺らを逮捕するつもりかァ?」
    「逮捕して改心するタマじゃねーだろお前ら。でも見つけちゃったから職務上ほっとけないのー」
    男たちは興を削がれたとばかりに溜息をつき、ばらけた。猪野は臆することも無く男たちの間を通り、ぼろぼろの外套を纏った男の足元に立った。顔は袋を被せられていて見えなかった。
    「なに、殺しちゃったの?」
    「知らね。なあイノ、これ処分しとけよ」
    「ええー?」
    「犯罪者用の墓に捨ててこいよ。お前なら入れるだろ」
    ほら、と男は懐から金を取り出して猪野の手に握らせた。
    手を開けば銀貨が五枚。
    「……ン、やっとく。」
    ゴソゴソとポケットにしまい、猪野は仕事を引き受けた。
    王国に忠誠を誓う兵士といえど末端の猪野の給料はそれほど高くない。
    こうやって小銭を稼ぐことも生きるためには必要なのである。

    肩をいからせがに股で去っていく男たちを見送って、猪野は力なく横たわっている男の手を取った。脈を探ればしっかりと拍動を感じた。
    「おじさん、死にたくなかったら起きて歩いて」
    べしべしと男の腹を叩いた。腹は固いし、手にもしっかりとしたタコがあった。剣を扱うもののような、少し違うようなタコは街のゴロツキにやられるような人間の手にあるのはおかしい気がした。深入りしない方が良さそう。そう思っても引き受けた分は仕事をしなくてはならない。
    「アンタのことは共同墓地に捨てたって言っとくから、さっさとどっか行きなよ」
    そう言って顔に被せられていた布袋をひっぺがすと、見えた顔に思わず猪野は小さな悲鳴を上げた。そしてあわててもう一度袋を被せた。

    ──え!ええ!?五条公爵家の騎士さまじゃん!!

    ばくばくと暴れ回る心臓をなだめようと猪野は服の上から胸を抑えた。
    昨年の魔獣氾濫の際に五条公爵家の騎士団が出征し災害を食い止めたと、王城に招かれた際のパレードで見たことがあった。
    白馬に跨り笑顔で手を振る五条公爵と、そのすぐ斜め後ろを黒馬に乗り、無表情で進む騎士。榛色の軍服には一級騎士としての証や勲章がいくつも輝いていた。
    地位も栄誉も欲しいままの輝かしい男が何一つ
    面白くない、と言った顔で晴れの舞台のど真ん中にいたものだから、変人だな、と思った。
    猪野はもちろん、治安維持のために警備中だったので、その騎士を見ていたのは十秒にも満たない短い間だったが、
    それでもその騎士の姿は不思議と猪野の中に刻まれて今の今まで記憶にしっかりと残っていた。

    「…………おーい、もしもーし……起きてくださーい……」
    正体を知ってしまうと無遠慮に体を揺さぶることも出来ず、優しく肩のあたりを叩いた。しかしピクリともしない。
    仕事を請け負ったからにはこのままにしては置けない。けれど本当に犯罪者用の共同墓地に捨てに行くわけにもいかない。
    はぁ、と息を吐いて騎士の腕をとって肩に回した。







    「いのにぃ、なにそれ」
    「おかえりいのにぃ!その人だぁれ?」
    「いのにぃ、おなかすいたぁ」
    子供の声。くわんくわんと耳鳴りに交じってどんどん声が増えてゆく。
    「たっだいま。内緒のお客さんだから奥に連れてって。パン買ってきたから食ったらすぐ寝ろよ」
    「はぁい」
    意識がはっきりしてきたが、七海は寝たフリを続けた。どうやらイノという男とその子供たちの家らしい。声色から敵意は無さそうだと判断して、七海は子供たちに引きずられるまま身を任せていた。

    ばふ、ばふ、となにか体の上に乗せられて、それから子供たちの軽い足音が遠ざかっていった。薄く目を開けると暗闇の中ぼんやりと隣の部屋から漏れる明かりが見えた。
    「……」
    音を立てないように体の上に乗せられたものに触れるとゴワゴワとした布だった。
    目が慣れてくると、部屋の中が少しづつ見えてきた。
    編み途中のカゴ、木をけずって作られた人形、何かよく分からないガラクタが沢山積み上がっていた。
    隣の部屋からそっちのパンが大きいとか、水をこぼしたとか、ぎゃんぎゃんと騒がしい声が聞こえ、とこからともなくうっせえ!と声が聞こえてイノという男が謝っているのが聞こえた。

    声の調子からまだ若いだろうに大変だな、と七海は耳をすましていた。
    食事を終えた子供たちは七海の周りに転がるとそのまま寝息を立て始めた。ベッドも何も無い、木の床である。もしや体の上に乗せられた布は寝具だったのだろうかと気づいて、譲ってくれた子供たちの優しさに思わず張り詰めていた気が緩んでしまった。
    皆寝静まったらそっと出ていかなくては。なんの罪もない子供たちを危険に晒す訳にはいかない。
    そろそろ起きてもいいかと七海が身じろぐと、隣からふえ、とぐずる声が聞こえた。おもわずぴしりと固まる。
    泣き出すだろうか、泣かないでくれ。その祈りが通じたのか子供はまたすやすやと寝息を立て始めた。
    今度こそ、と体を起こせばみしみしと体が傷んだ。
    骨にヒビが入っているかもしれない。が、それに構っている場合ではない。
    七海の周りで眠る子供たちを起こさないようそっと立ち上がり、隣の部屋へ入ると、剣を抱えて戸口を塞ぐようにイノが寝ていた。剣には兵士であることを表す簡素な紋章が彫られていた。
    「……これは寝言なんすけど、今出てくのはやめた方がいいっすよ」
    「!」
    「普段キレーな所にいるお方は知らないと思うけど、今夜は貧民街の北西の門が開く日なんで巻き込まれたらシャレになんないし」
    寝言、と言う割にははっきりと話す少年。俯いたままなので顔は見えないが、十七、八くらいかと七海はあたりをつけた。
    「……助けて下さりありがとうございました」
    「助けたっつーか、成り行きってゆーか。」
    「ここの子供たちは君の兄弟ですか?」
    「みーんな孤児。オレが一番年上ってだけ」
    孤児。なんとなく察していたが、改めて言われるとその二文字が七海に重くのしかかった。
    一昨年から続いたダンジョンからの魔獣氾濫では多くの冒険者たちが死んだ。貧民街に住まうもの達はダンジョンに潜りそこて得られた品を売って生計を立てるものが多かった。
    魔獣氾濫の初期で魔獣に殺され、立ち入り禁止になって稼ぐ手立てを失って飢えて死ぬ者もいただろう。
    一年かかって魔獣氾濫を収めたが、その間に貧民街は大きく様変わりしたと話に聞いていた。
    ここの子供たちの親はもしかしたら。そう考えかけてやめた。死んだ人間が生き返らないように、起きてしまった事象は覆らない。

    「北西の門が開く、というのはどういうことですか」
    「……オレ寝てるんだけど」
    「明日、戻ったら食料とお金を届けましょう」
    「おっはようございます!ここを出て行きたい人間をお貴族様が連れてく日なんだよ。隙間からのぞいてみてよ。向かいのコ、外に立ってるだろ」
    がばりと顔を上げた猪野が示した木戸の隙間から七海は外を覗いた。何度も板をうちつけて直した跡のある扉は釘のところから割れ目ができていた。
    「女はお貴族様のお屋敷で働けるって触れ込みで、男は庭師だったり畑をやるから小作人になれるって言われてるけど、ホントかどうかは知らない」
    外に出ない方がいい、と言うあたりおそらくそんな仕事はないのだろう。けれど貧民街から抜け出せるという甘い言葉にすがってしまうのも仕方ないのかもしれない。
    「少し考えりゃ、人目を忍んで夜中に連れ去るような就職先ってどうよって気づきそうなもんだけど」
    「……教えてあげないんですか」
    「そんな目立つことして連中に目ェ付けられたら次の日にはここ更地だかんね」
    ふぅ、とイノはため息をついて外を覗く七海を見上げた。
    ガラガラと悪路を走る馬車の音が聞こえてきた。すぐ近くで止まり、また走り出すと向かいの家の前に立っていた女の姿は無くなっていた。
    「……朝になったら、向かいの家からチビ連れてくるよ」
    「……」
    あの女は母親だったのか。なんともやるせない気持ちが胸の中にひろがって、七海はぎゅ、と口を固く結んだ。
    「門が閉まるまで外出ちゃだめだよ」







    っていう書きかけ。七が倒れてた理由は後ほど書く予定で猪くんが孤児たちまとめてる理由も後で書く予定だし、猪くんが子供の頃見て憧れた清廉な騎士は七(16)さいですね
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