2024/1/28逆バニーの日のらくがき夜遊び好きの俺モブくん、ライトなとこからけっこうディープめの店まである程度制覇しちゃって今日はどこいこうかななんて悩んでいたら、チョロチョロ顔出す無料紹介所で馴染みの兄ちゃんに「ちょっと面白い店あるよ」と唆されて知らないおっパブに案内された
薄暗い店内 賑やかだが喧しい感じもなく熱気はあるが落ち着いている なによりフロアを歩いている女の子のレベルが高いしみんな逆バニー👯これは穴場!とわくわく席で待ってたら若い男の少し掠れたような声が聞こえた
「こんばんはぁ」「っ」現れたのは逆バニー 逆バニーなんだけど 逆バニーではあるんだけど 男!!!!!!!!!!!!!!!!!
「なんじゃあお客サン、あそこの兄やんに騙されよったか」逆バニーの男(???)は特段驚く様子もなく、手慣れた様子で俺モブくんの隣に腰を下ろす それにしてもすごいかっこいいけど童顔だなこの人 うわえっぐいパンツはいてる〜〜てかちんちんデカない?
「逆バニーのいるおっパブって聞いて来たんだけど…」「おん、ここにおるろう」いや確かにそう そうなんだけどそうじゃないっていうか そうか最近はどんどんダイバーシティってやつが進んでるんだな でも自分できれば女の子のおっぱいが揉みたいんですが…
「別におにーさんがどうこうって訳じゃないんだけど、俺、女の子のキャストが良くて」「ひひ、冗談じゃ冗談、わーっちゅうよ」悪戯に笑う逆バニーのお兄さん 笑うと特に顔が幼くなる 可愛い えっ可愛い???
「今ちょうど女のキャストがみぃんな卓につきよるき、ちくとばぁわしと話でもせんかえ?」なるほど場繋ぎか、いやでもこの分の時間の金払うのは俺だし 金払って逆バニーの男とオハナシするのってどうなんだ???
「別に外で待ちよってもえいけんど、味気ないろう」男は若い黒服が恭しく持ってきたボトルセットで早速酒を作り始めている。「いや、その、あっ」「わしの奢りやき心配せんでえいよ」また揶揄うような表情を浮かべた兎は、俺モブくんの考えてることなど全てお見通しのようだった。
キャストの奢りとはまた随分とおかしな話だが、俺モブくんは素直にその水割りを受け取った。体の良いぼったくりかもしれないけれど、不思議なことにこの童顔の男に差し出されたグラスを拒絶することが出来なかった。
「お兄サン、普段はどの辺りで遊びゆう」「大体この辺りだよ」「こがぁな店で?」「いちゃキャバの方がメインだね」「ほうかえ、この辺やとあれか?」付近の有名店、しかもかなり値の張る店舗の名前がぼんぼん出てくる
「おにーさん、名前は?」「テツち言いますぅ」「テツくんもいちゃキャバ好きなの?」「いんや、よう客で勤めゆう姉ちゃんが来ゆうがじゃ」「あ〜」なるほど。というか、女性客が来る??
「この店、女の子も来るの?」「おん、あっちの間仕切りの向こうにおるよ」俺モブくんは目を見開いて店のシステムをめちゃくちゃ聞いた すごぉい 先進的ィ
「え、そしたら今みたいに男の客に男のキャストさんがついたときって、ダウンタイムはどうすんの?」「失礼します」童顔の兎が口を開くより早く、やって来た黒服がモブ俺くんに声をかけた。「大変お待たせいたしました、キャストの準備が出来ました」
「おお良かったにゃあ、お客サン」にっこり笑った隣の男がすっと席を立つ。「ほいたら、しゃんと楽しんどうせ」「ちょ、ちょっと待って!」俺モブくんは咄嗟にテツくんの白いカフスごと手首を掴んだ。
「ん?」「あ、え? えーと」「どういたが?」「もう少し話したい、んだけど」「もうちくとしよったらダウンタイムやき、大人しゅうチェンジしよった方がえいぞ」「じゃあ指名したら、このままいてくれんの?」モブ俺くんが見上げた視線の先、黒髪ポニーテールの似合う兎が蠱惑的に目を細める。
「すまんのぅ、もう予約の客が来よったきに、今度は本指で来とうせ?」にべもなくその申し出を袖にした男はひらひらと手を振ると俺モブくんの卓を後にした。
「……」「お客さま、すみません。テツは本当に人気のキャストで」「いや、つい、その、物珍しくて」「では、キャストをお連れしますので少々お待ちくださいませ」恭しく頭を下げた黒服を俺モブくんがなんとなく視線で追うと、その途中の卓に先程の男兎が座るところが目に入る。
客はまたしても男性で、舞台俳優だとかモデルだと言われても違和感のないような整った顔立ちをしている。女性のキャストが喜んでその隣に座りたがるような見目麗しい美丈夫の隣に座るや否や、兎はその首に腕を回してきつく抱きついた。
(おわ……!)常連の太客なのだろうか、あまりの熱烈な歓迎っぷりに俺モブくんが目を奪われていると、やっと抱擁を解いて上半身を離しかけたふたりは至近距離で見つめ合うと何やら二言三言会話を交わし、そのままくちづけた。
(おわ……!!!)今度は互いの腰に腕を絡めながらの深いふかいディープキス。これだけ距離が離れていても舌を吸う音まで聞こえて来そうな熱く激しいやりとりで、兎の耳がゆらゆら揺れる。そのうち、兎は客の手首を握ると自らのほぼ剥き出しの胸にその手を誘導した。
(おわ……!!!!!)結局ダウンタイムに彼が何をさせてくれるのかは聞けずじまいだったが、その答えはきっと今視線の先で繰り広げられている光景そのものなのだろう。加減を熟知している長い指がそっと、男の胸筋を持ち上げるように優しく揉みしだく。
それは胸筋と言うにはどうにも性的すぎるようだった。乳肉とでも言わないと割に合わないような、なんとも言えない弾力でその指を受け入れている。それから、客の男の親指がするりと位置を変え、黒いハートの形をしたニップルシールの上を滑るように撫で始めると、兎の身体がびくん、と僅かに跳ね上がった。
(………………)ごくり、と生唾を飲む音が耳の奥に響く。自分のものと思えぬその音に、俺モブくんはぞっとするような高揚を覚えた。
「お待たせしました〜!」「?!」突如俺モブくんの視界は肌色に支配され、あっけらかんとした女の声が耳に飛び込んでくる。「すぐ来れなくてごめんね、待ったよね?その分このあとい〜っぱいサービスするからね!」やってきた女性キャストの豊満な肢体を目の当たりにした俺モブくんは、どこか釈然としない気持ちのまま、曖昧な笑顔を浮かべたのだった。
[了]