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    L_Branseven_K

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    L_Branseven_K

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    キウイ味クッキーとロールケーキ味クッキーのお話です。特殊設定・捏造過多等々ありますが、ごゆっくり閲覧していってください。

    Rider's-LINE-サンプル①一、時の隙間


    前略。
    クソ下らない理由でキウイと喧嘩した。
    思い返せば凄いアホな理由だと思えて仕方がないので考えないようにするしかない。
    いや果てしなく下らないしキウイに対して申し訳ないにも程があるんだよ。
    だから早く仲直りしたい。
    したいんだけどな。
    なんとそんな下らない理由が発端の喧嘩をしてから既に一週間が経っているにも関わらず、仲直りのタイミング切り出せないクッキーだーーーーーーれだ!
    …………………俺なんだよな。
    何ならロードローラー整備するから、って整備室で愛用のスパナをペン回しの要領でくるくる回しながらずっとうだついている。
    パンケーキは友達と遊びに行ったから今家の中には俺だけで。
    一枚が整備室で引きこもりエンジョイしてる。
    外出てえ〜〜〜今外出てええ〜〜〜〜〜〜〜〜。
    「………………いや、出たくない。」
    クソ程わがまま味クッキーとは俺のことだ。
    ………喧嘩の内容はマジで思い返したくない。
    ただあの時は、俺が怒鳴ればアイツも物凄く怒鳴り返してきて………。
    思い返せば。
    キウイの表情は酷く苦しそうで。
    激情に駆られつつも、これ以上の言葉を言いたくない、って感じで。
    ………でも、俺たちは言った。

    『絶交』。
    その二文字を。

    …………俺も、本当はそんなことしたくない。
    アイツと絶交だなんて、それこそ心から体が割れてしまいそうなくらい、苦しい。
    仲直りしたい。
    しなきゃ、いけない。
    …なのに、俺は……。
    スパナを握る手に力がこもる。
    嗚呼もう、嫌になる!
    こんなんじゃストレスがたまるばっかりだ、さっさとロードローラーの不具合直して、誰もいないとこに出かけよう。
    確かタイヤのネジが……………。
    「あ。」
    丁度変えようとした部分のパーツの予備が、無い。
    嘘だろ?こんな時に?外に出たくないのに?
    いや出たいけど、パーツを買うには絶対に商店街に行く必要がある。
    こんな致命的な……………。
    「……………いや、ご飯も買いに行かなきゃいけないし……………。」


    五分間じっくりかけて悩んだが。
    背に腹は変えられないので、俺は出かけることにした。
    誰にも会いませんように。
    誰にも!会いませんように!
    ***

    「あれ、ロールじゃねえか。」
    三十分前の俺へ。
    フラグ回収したよ。
    早いね。
    キウイじゃないだけまだマシだが、この声は知り合いの声。
    ………出来る限り、何でもないような声を出そうと唾を飲み込む。
    「………バブル?」
    「よっ」
    ミニジャクソン2号と片手で戯れながら、いつも通りのバブルガム味クッキーがいる。
    なんで此処にいるんだよ馬鹿、と思ったけどこの店部品屋だからコイツが来る可能性があ るのは当たり前か…。やっちまった。
    そんな俺の悩みはどこ吹く風かというように、何事も無いように話しかけてくる。
    「何買ってんだ?」
    「ロードローラーのタイヤの部品が予備ごと無くなってて。仕方ないから足りない部品と予備のパーツの買い足し。あとコレを終わったら夕飯を買いに行かなきゃな……。」
    「へぇ、結構ちゃんと買い物するんだな。」
    「パンケーキのこと考えて野菜とかも買いたいからな……味を誤魔化しつつアイツは美味しく野菜を食べる方法ねえかなぁ……。」
    「むっずくねえ?」
    その疑問はすごく分かる。アイツの野菜嫌いが高じて、こないだ野菜窃盗事件起きたし………。ま、足りないパーツはコレくらいで補えるかな。
    「なぁ、ロール。昼飯食ったか?」
    「まだだなぁ。」
    「じゃあ、一緒に食いに行こうぜ!近くにサンドイッチ味クッキーが働いているサンドイッチ屋あるだろ?そこのサンドイッチ美味いし!」
    「んじゃ、会計してから行くよ。」
     さて、会計会計っと……。
     えーっと、今レジ通してるから計算してくれてるけど取り敢えずアレ買ったしコレも買ったから…………値段は……。
     ……………………なんだ?
     店の中なのに、水の凍る音………?
     何処から聞こえるんだ?まだ、雪が降る訳でもねえのに………。
    「お客様?」
    「えっ?ああっ、はい!現金払いです!」
     やべえやべえ、店員に迷惑かけちまうところだった。
     …………一体この音、何なんだ?


    ***


    「さっき急に止まってどうしたんだ。」
     案の定、バブルに聞かれる。
     無理も無い。急に俺が黙って周りを見ていたっぽいんだから。まぁー怪しむ怪しむ。
    「………なぁ、さっきから水が凍るような音がしなかったか?」
    「何言ってんだ、この近くの水場なんてこっから500メートル先の広場にしかないぞ。」
    「やっぱ俺の聞きまちが………い…………。」
     俺の言葉はそこで途切れる。
     途切れざるを得なかった。バブルも俺が急に黙ったのを訝しんで……俺の視線の先を辿り、押し黙った。
     そこにはダイナサワークッキーと一緒に。
     キウイ味クッキーもいたから。
     いつもの澄ました顔から、一気に表情が無くなる。
     …………そんな顔しなくたって……。
    「ダイナ、何でここに、」
    「いや俺はさっきそこでキウイと会って………、ちょっと待てよロール!」
     くそッ、やっぱ逃げ切れなかった!
     こっそり逃げ出そうとしたけどバレるのは時間の問題だったのは理解していたけどな。
     すぐ様走り出したけど、身の丈程のハンマーを持ってる俺でも、普段かなり危険な冒険をしているダイナと相棒のゼリー恐竜の瞬発力の速さに敵う筈が無く。
    「捕まえた!」
    「うぎゃあ!」
     情けない声を上げながら、服を咥えられた俺は宙ぶらりんに。
    「下ろせえ!」
    「会っただけで逃げる奴がどこに居るんだよ。お前が逃げないって言わないのなら下さねえぞ。」
     こ……この野郎。
     宙ぶらりんのまんまの俺の周囲をライト兄弟がぐるぐる回る。いや困ってるのはわかるけどよ…。
     嗚呼もうキウイもそんな顔しなくて良いだろ哀しくなる………原因は俺でもお前でもあるけどさ。
     本当に気まずい。バブルもダイナもそのことを知ってるからお互いに会わないようにしていたんだろうけども………。
     ゼリー恐竜がずっと大きいままだから周りがざわついている。耐えられない、でも多分ダイナは俺が逃げ出さないって言わなければ下ろしてくれない………。
    「…………………逃げないから、下ろしてくれよ。」
    「分かった。」
     漸く下ろしてくれた。ただ俺はキウイと目を合わさない。向こうも目を合わしたくないだろう。
     ……………………………クッソ気まずい。
    「あのさ………俺らはお前らの性格判ってる………つもり、だから。あんまり深くは言わないけどよ。………あんまり長引かせない方が、良いと思う………。」
     バブルが余計な、でも俺らに対して正論をグッサリ飛ばしてきた。
     …………判ってる。判ってるけど………。
     目を伏せる。口を閉じる。何も見たくない。何も言いたくない。
     ………今はひたすら、耳をすませるだけ…………。
    「………………嗚呼。」
     ………やっぱり、小さく水が凍り付いていくような音が聞こえる。
     ピキピキと、小さな音を立てて……いや、さっきより音がデカいような気がする。
     目を開ける。周りは変わらない、筈。
     俺の近くにダイナとバブル。少し遠い場所にキウイ……。
     誰も、音なんて気にしてない。いや、本来この音が聞こえる方が可笑しいのか。周りの騒めきに掻き消されているような音なのか、この音。
     ………こんなにも大きな音なのに?
     俺以外に誰も気付いていないのか?何処から聞こえてくる……?というかこの音………キウイの後ろから……?

    バリィッ

    ―――唐突だった。
     乾いた紙が破れるような音を立てて、キウイの後ろの空間が裂けた。
    「なん、だ、この音……?」
     キウイが後ろを振り向くと同時に、空間が大きく裂ける。

     荷物を投げ捨て、ライト兄弟の明滅が赤に変えて、俺は走った。
     直感で理解しちまったんだ。
     あのまま空間が拡がれば、キウイはあの中に落ちるって。
     それは嫌だった。あんな訳の分かんない穴に落ちて無事な保証は何処にも存在しない。
     だったら。
     愛されているキウイがいなくなるぐらいなら。
     ………愛されてない俺が落ちた方が、良いだろうと。

     俺がキウイの元に到着すると同時に、裂け目が更に大きくなる。
     二枚共助かる方法は、もう俺の頭に残っていなかった。


    キウイの背中を思い切り蹴り飛ばす。さっきまで俺が居た方向に。
    「あっ?」
    「…………悪りぃ、キウイ」

     コレで喧嘩したこと、チャラにしてくれよ。
     そう思いながら身体は空間の中に吸い込まれていった。
     悲鳴を上げる暇も無く落ちていく。堕ちていく。
     クッキーの身体はそんなに重くない。けど、ゆっくりとは言い難い速度で落ちる。
     まぁそれは俺がハンマー持ってるからかなと思いつつ、裂け目がどうなっているか気になり、裂け目の方に身体を捻った。
     さっきまで大きかった裂け目は俺を飲み込んだと同時に閉じていった。
     コレで俺以上の被害は出ないな、うん!
    「………ん?」
     裂け目から三枚のクッキーの影が見える。
     アレはダイナとバブルと………キウイ?
     キウイ、なんか叫んでるのか…?そんでダイナとバブルは引き止めてる…?
     何やっているんだ。下手したら俺の二の舞になるってのに。
     目を凝らす。ゴーグルを付けてアイツらがどんな顔しているかどうか確認してみるか。
     でも確認した数秒後に空間の裂け目は衝撃波のようなものを出して三人を弾き飛ばして、そのまま閉じた。
     …………よし、コレで今度こそ三枚とも無事だな。
     愛されているクッキーは無事!愛されてない俺だけ落下!よし!
     あーでもパンケーキが気がかりだ…………アイツ俺が居なくなって泣いたりしたら宥める奴いるのかな………スパさん?ほうれん草さん?うーん………。

    「………墜ちてる俺には、関係無いか。」

     今俺が一番気がかりなのは。
     最後に見えたキウイの顔が。
     悲しみと焦燥と絶望の入り混じった表情だと感じてしまったことだ。

     お前のそんな顔、初めて見た。
     ……二度とそんな顔して欲しくないとも、思った。
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