ベッドよりソファでしたい事がある
「ユージ、もういっかい」
と言いながら悟はそのまま寝てしまった。ユージは気怠い手足をなんとか動かし190センチの身体の下から抜け出すと、色んなものでべたべたになった自身を見下ろした。
「……なんかなあ」
前はこんなんじゃなかった、と思う。前はもっといろんな話をして、目が合うだけで照れたりしていた。でも今は家に行ったら即寝室に引っ張り込まれ、そして気絶するように眠り、朝風呂場を経由して帰るだけ。悟はにこにこしてまたねと言い、ユージもうんと返して。それだけ。
(……今日、お笑いやってたのになあ)
最後に一緒にテレビを見たのはいつだろう。
緊張して端に座ったのをからかわれたリビングのソファの形が曖昧になっているのはユージの記憶力が悪いからじゃない。
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