ミラーリング #5(カルデア編) 初めて会ったときのおまえは、小さな小さな子犬だった。
だが、子犬はあっという間に俺が望んだ全てを手に入れた。
そんな子犬が、俺は憎くて憎くて仕方なかった。
だが、嗚呼、そんな俺の心の内も知らず、おまえはなんと無邪気に笑いかけてきたことだろう。
その小さな体が抱えるものの大きさを知り、どれほど心傷んだことだろう。
二人で競い、技を磨き合う一瞬が、どれほど楽しかったことだろう。
あんなに懐かしく輝く日々が、今はなんと遠いことだろう!
空はこんなにも晴れているのに、俺の顔には雨が止まない。
さあ、そんなに泣かないでくれ。
愛しい愛しい、俺の妹。
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種火を与えられて強くなったランサーは、髪の毛をバッサリと切ってしまった。
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