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    たまごやき@推し活

    アンぐだ♀と童話作家アンデルセンのこと考える推し活アカウント

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    カルデアアンぐだ♀、付き合ってる時空ハロウィン

    2019.11

    ##FGO
    ##アンぐだ
    ##カルデア時空
    ##恋人

    トリックはコーヒーの後にでも アンデルセンは面倒見がいいから、「たかられて無駄に時間を取られるのが面倒だ」とか言いながらお菓子を用意している。ハロウィンの準備は万端で、抜かりない。
     ついさっきも子ども姿のサーヴァントがアンデルセンの部屋へ訪ねていき、カラフルなキャンディを持って出てきたのを見たくらいだ。
     そもそもカルデアではこの日に向けてお菓子をちゃんと用意してくれているサーヴァントや職員が多い。
     キッチンのみんなは子ども達のためにカボチャのお菓子をたくさん作っていたし、お菓子の詰め合わせを用意しているような用意周到なサーヴァントもちらほら。
     わたしも彼からお菓子をねだってみようか、そう思って部屋を訪ねたのだった。

    「まさかお前まで訪ねてくるとは。年甲斐もなく俺から菓子を強奪して楽しもうというわけか」
     トリックオアトリート……扉を開き、張り切って唱えてからもらった第一声はそれだった。相変わらずのつれない態度はいっそ笑ってしまうほどだ。
    「もう、いいでしょ! アンデルセンがちゃんとお菓子用意してるの知ってるんだからね」
     きっと準備のいい彼のことだから、お菓子はたくさん用意しているはず。甘いキャンディはいくつもらったって嬉しい。
    「そんなもの、俺がわざわざ用意するわけがないだろう」
    「……あれ」
     憎まれ口を叩きながらもキャンディを出してくれると思っていたのだ。
    「だ、だってほら、さっきみんなにキャンディあげたでしょ? それに……」
     今も彼の机にはキャンディの入ったガラス瓶が置いてあるのがはっきり見えるのだ。用意してない、なんて見えすいた嘘は彼らしくない。
    「知らんな。――それよりもお菓子がないならイタズラ、だろう」
    「……えっ?」
    「ほら、どうした?」
     ぐっと上がった口角からは今にも牙がのぞきそうなほど、仮装なんてしなくてもよほど悪魔か何かのようで。……悪そうな顔。
     どうやら彼はあえて『イタズラ』の方を選びたいらしい。けれどわたしはお菓子が貰える気でいたから、イタズラの選択肢なんて少しも考えていなかった。
    「えっと……」
    「どうした。まさかとは思うがお前、確実に菓子を手に入れられるつもりで何も考えてなかった、とでも言うのか?」
     半笑いでこちらを見ている彼はわたしのことなんてお見通しだ。
    「急にイタズラなんて言われても困るよ」
    「見通しが甘いな。突発的なエチュードに対応する力もマスターには必要だろう? 考えてみろ」
     珍しい彼の無茶振りに、必死で考える。ハロウィンのイタズラ、なんて経験がないのだ。そもそも好きな人に観察するように見つめられながらイタズラを考えるなんて、落ち着かなくてそれどころじゃない……!
    「あんまり見られると集中できない!」
    「何だ今さら、俺に見られて困るようなことがあるのか? 仕方のないやつだ」
     やれやれとため息をつき、彼は目を閉じてみせた。こうしている間に考えろ、ということだろうか。

     目を瞑る彼を見てそれから頭をよぎる、ハロウィンの恋人同士のイタズラ。前に雑誌でそれを読んだ時は、こんなの実際はやらないよねなんて思ってどこか他人事だった。
     例えばそう、お菓子を持っていない恋人の目を閉じさせて、それで。それからキラキラの背景の中、まるで二人の影が重なるように……。
    (いやいや、そんな。マンガじゃないんだから……!)
     一瞬考えてしまったことに顔が熱くなる。勝手に、そんなの。大体彼に限って、そんなイタズラを欲しがるはずない。彼が恋人であるわたしにイタズラの方を求めたからってそんな、雑誌みたいなことはないのだ。
     貴重なサンプルケースだとか、取材だとか、そんなことばかり考えているに違いなくて。
    「まったく随分と悠長な即興劇だな」
     彼は待ちくたびれたのか、閉じていた目を開けてこちらへ身を乗り出す。
     その体勢にますます、さっきまで考えていたことを意識してしまう。彼の唇にばかり行ってしまう意識をどうにか逸らそうとしているのに、つい目を離せない。
    「……今さらイタズラに躊躇するような関係か?」
     彼が自分の唇をとん、と指でなぞりながら目を細めて見せるものだから、息をするのも忘れてしまう。じわじわと上がる体温に、確実に今自分の顔が赤いのが分かってしまって。
     挑発、されている。わたしがどんなイタズラを考えたのかだとか、何にためらっているのかだとか、そんなのを暴くのは彼には容易いことだ。分かっていながら、しかし核心には触れずにこうして揺さぶりをかける。
    「アンデルセンって、本当に……」
     意地悪だ。
     だけどそうやって文句を言ったら彼からどんな返事が返ってくるかくらい、私でも想像できる。
    「――意地の悪い男がお前の好みだろう?」 
     まだ文句もいってないうちから、予想通りに言い当てられる。
    「…………知らない」
     堪えるように低く笑う彼を見ながら、もう『好みじゃない』と反撃するほど余裕はない。
     
     彼がポットからわたしのカップにコーヒーを注ぎながら、楽しそうにこちらの様子を見ている。いつもなら「ゆっくりしていけ」、のその合図に今日は「逃してやらない」のメッセージを感じ取る。
     
     トリートより一層甘いトリックに惑わされながら、わたし達の駆け引きの時間は始まったばかりだった。
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