メイドパロ 真紅の薔薇が咲き誇る中庭にメイドが一人。
彼の名はアラスター。
アラスターは屋敷の主人であるロージーに長年仕えており、普段はロージーの日常生活をサポートしたり、屋敷や中庭の掃除や手入れをしているが、彼にはもう一つの側面があった。
……
深夜。
何者かが窓ガラスを割って屋敷内に侵入した。侵入者は骨董品や宝飾品を手早く袋に入れていき、薄汚い袋を美しい品々で満たしている。そんな侵入者の影から音もなく浮かび上がるアラスターは、よく通る声で侵入者に声を掛けた。
「ご機嫌よう。こんな時間に訪問とは随分不躾なお客様ですね。本日はどういったご用件でしょうか?」
「えっ……ぁ」
「んー?聞こえませんねー?」
アラスターは意地の悪い笑みを浮かべて長いスカートの裾から触手を出すと、ぐにゃりと蠢かせて侵入者を捕らえて締め上げる。
「ぐっ、うぅ……」
「汚らしい声ですねぇ。くくく、まぁ……貴方のような人にはお似合いですね」
冷ややかな目で見ながら、侵入者を加虐する表情には嗜虐心が色濃く滲んでいる。そして触手のなかで身悶える侵入者を無慈悲に握り潰して亡き者にすると、死体を割れた窓から投げ捨てた。それから踵を返して侵入者が居た部屋に戻ると、ネグリジェ姿のロージーが立っていた。それに驚いたアラスターが目を見開いて立ち尽くすと、ロージーが歩み寄って話す。
「アラスター、怪我はない?」
「えぇ、まったく」
「それは良かった。でも、せっかくの服が汚れてしまったわね」
ロージーは返り血で汚れた白いエプロンに目を向けて眉を下げる。それに対してアラスターは事も無げに笑って言う。
「ご安心ください。血の汚れを落とすのは得意なんです」
「あら、さすがね」
「ふふふ。では、私は散らかった場所の片付けなどをするので、どうぞお休みください」
「分かったわ。おやすみ、アラスター」
「おやすみなさい、ロージー」
アラスターはロージーの手の甲にキスをして、後ろ姿を見送った。そして再び静寂が訪れた時、自身の影から使い魔を召喚して屋敷の乱れを正していった。
……
翌朝、ロージーが眠る寝室の扉を開けたアラスターは、黒のハイネックワンピースに純白のエプロンを身に纏い、朝に似合う爽やかな笑みを浮かべて起床を告げた。