Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    さらさ

    思い付いたのを適当に。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 47

    さらさ

    ☆quiet follow

    前から言ってる余命宣告系ロイドのランロイ
    ロイド余命宣告→ランロイくっつく→ランディにバレる→別れ話
    の順番の予定。ランディがミリも出てこない序章です。続かない(私のデータは続くかもしれないが)
    別れ切り出しても看取ると言って譲らないランディまでは心の中で書きたい。

    「さて、話した通りだが……。私個人としてはこのまま入院を勧める」
    「結果は変らないんですよね?」
    「ああ。だが多少長らえる事は出来るが……どうする、ロイド・バニングス」

     ウルスラ病院のとある診察室。体に不調を覚え一度診て貰おうとやって来たのだが、状況は余りにも深刻だった。彼女――セイランド教授が言うにはそう時間が残されていないらしい。レアケースの病状である事、地下で潜伏していた頃には既に発症していた可能性。そして一部臓器に傷が見られる事を考えると一年持てばいい方だと言う。その上で彼女は問う、どうするのかと。だが結果が提示されている以上、ロイドの答えは一つしか残されていない。最期まで《特務支援課》の一員としてクロスベルの為に足掻き、支える事。その為ならこの命は惜しくないとさえ言える。その事を伝えれば、セイランド教授は呆れたように溜め息をついた。彼女もロイドを知って数年になるが、意思の固さはそれなりに知っていたし聞かされていた。最初から分かり切っていた答えであったとはいえ、医者としてはやりきれないのだが。

    「許可するが、薬は入院しない分増やす、もし倒れるような事があれば問答無用で入院。それが条件だ」
    「こちらが我儘を言う以上は従います」

    残された時間は、余りにも短い。その中でどうするか、ロイドは頭の中で思考を巡らせながらクロスベル市内に戻るバスへと乗った。

     それから数日、全くロイドはいい案が思いつかなかった。大丈夫だろうと思いつつも残す支援課の業務体制や状況を資料としてまとめ、寂しくなるからと自分が作っていた料理のレシピを残し。他にこれと言ってやる事が思いつかなかった。勿論、最後まで出来るだけ《特務支援課》の一員でありたいと思っている。だがいざ余命宣告を前にして、自分の死は全く想像できなかった。

    「悔いのないように、か」

    悔いている事はない。ただ一つ言うのなら、ずっと悩んでいた事はある。――自分の好きな相手に告白するかどうか、だ。終わりが見えている今、告白して叶った所でその相手を置いて行ってしまう事は目に見えているのだ。だが、叶う可能性もないかとロイドは苦笑した。――相手は正真正銘の異性愛者の同性なのだから。

    「ロイドさん、失礼しますね」

    ドアのノックと共に誰かが部屋を訪ねてくる、慌てて処方された薬を隠すと入って来た彼女――ティオにはあからさまに睨まれる。

    「ロイドさん、今何を隠したんですか?」
    「いや、何も……」
    「他の人よりも五感が優れている事、忘れていませんか?ランディさんから借りたグラビアでも引きませんから」

    そうだ、きっと隠した音も扉越しに聞こえていたに違いない。そう思うと、ロイドも白旗を上げざるを得なくなった。彼女が思っている以上に、酷な物を隠していたのだが。

    「それ程まで状況は深刻だって事ですか」

    状況を包み隠さず話して処方された薬もティオに見せた。話を聞いたティオは端的な説明で大体察したらしく、もうロイドが長くない事も悟った。彼女には申し訳ない話ではあるが、覚悟も決めている。だがこれ以上、他の誰かを悲しませたいわけでもない。

    「ああ。俺がいなくても大丈夫だとは思うけど、皆には一応黙っていてくれないか?」
    「大丈夫なわけ、ないじゃないですか……!酷いです、ガイさんもロイドさんも!大切
    だと思っても皆置いて行ってしまうんです!お礼も言えないままに……どうして……」

    そういえば、彼女がクロスベルに来た経緯は兄――ガイ・バニングスだったなとロイドは思い出す。何も知らなかった彼女はガイが亡くなった事を知って生きる意味を問えなくなったのだと過去に言っていた。そして心から感謝している事もロイドは知っている。だから、だろうか。置いて行ってしまうのは少し心苦しい。

    「ごめん、ティオ。俺……」
    「いいえ、ロイドさんを責めても仕方ないのは、分かっていますから」

    だから、という訳ではないがティオは黙っていてくれる事を約束してくれた。知ってしまい、尚且つロイドの意志を尊重する事を決めた以上自分は共犯なんだと言うのだ。そうさせてしまった事は申し訳なかったが、それでも自分のなすべき事は最期まで果たしたいとロイドは思う。

    「ロイドさん、いいんですか?告白しなくて」
    「……ああ。置いていく人間に想われるなんて重すぎるだろう?」

    煮え切らない様子に、ティオも我慢ならないのか黙っている代わりにちゃんと告白しろと言われてしまっては頭が上がらない。だが、玉砕覚悟であるなら。その人にフラれる前提であるのなら話は変ってくる。それなら告白しても重荷にならないかと覚悟を決める。――これが思わぬ方向に転がるなど、思いもしないまま。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    さらさ

    CAN’T MAKE多分もう書かないと思われるオメガバースランロイの序章を見つけたので私のメンタル維持のためにあげておく

    バース性関係なく一緒にいたいαランディといつか来るだろう未来に諦めを抱いているβロイド


    このあとロイドくんがΩになっちゃっててんやわんやするんだろうなぁと思いつつも断念
     ずっと、思っている事がある。もしも自分がΩだったなら、この不毛な関係にも意味を持たせられたのではないかと。Ωとは第二の性にして産みの性。男女問わず妊娠し、出産する事が出来るのだ。そして対になる性、αと番関係を持つ事が出来る。俺には恋人がいる。ごく一般であるβの俺とは違う、約束された相手がいるはずのαの男だ。俺の心にどうしても惹かれたのだと言われるものの、俺には分かる。この関係にいつか終わりが来る事を。惹かれあう番に、俺が敵う筈もない。もし俺がΩだったとして、番になれるのなら。そんな叶いもしない願いを抱きながらいつか来る終わりに怯えながら今日も一日過ごすのだ。

     ずっと思っている事がある。もしも俺がβだったなら、愛している相手をこんなにも不安にさせなくていいのかと。言葉にはしてこないが、ずっと不安そうにしている事は気付いていた。恐らくそれは、俺の性に関係がある事だろう。俺が惹かれた相手はβだった。βというのは良くも悪くも普通で、実質第二の性がないようなものである。αやΩとは対極にいるような存在で、自分の意思で相手が決められる。俺達は結局フェロモンの匂いに充てられればいとも簡単に相手を変えてしまえるような最低な性だ、そんな相手と付き合っていられる精神性に最早脱帽だった。いつか運命やΩの匂いに充てられて今の恋人を捨ててしまったら。きっと俺は自分自身を殺したい程憎むだろう。仕方ないって笑うあいつの姿が目に浮かぶ。諦念を抱かせる位ならいっそ俺がβになるかあいつがΩになればいいのに。そんな叶いもしない願いを抱いて今日も一日人知れず怯えるあいつの背に歯噛みしながら過ごすのだ。
    694

    recommended works

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
    1171

    さらさ

    MOURNING「何かあって不機嫌そうなクロリンが戦闘では息ピッタリな話」の続き。やっとくっつきます。
    付き合ってないのに痴話喧嘩は犬も食わない リィンとクロウの不仲騒動から数時間。第五階層の最奥まで回って《円庭》に戻ってきた面々は二人を除いて疲れ切った表情をしていた。余りにも不毛な痴話喧嘩、それでいて付き合っていないというのだから手に負えない。瞬く間にそれは広がり、新旧Ⅶ組は総出で溜息をつき、他の面々も事情を察したように苦笑いをしていた。一部生温かい目で見る者もいたようだが。

    「全く、本当にいいのかい?リィン君だって同じ気持ちを持っているのだろう?」
    「……あいつには悪いが、応えられるほど真っ直ぐじゃねぇんだ」

    テーブルを囲って、かつて試験班だった面々がクロウに詰め寄る。アンゼリカの言葉に彼は首を振った後、真剣に迫ってきたリィンの事を思い出す。構えば構う程、愛情と執着心そして独占欲が生まれ、その度にクロウは己を律してきた。果たしてそれは必要か、と。必要であるならばいくらでも利用できる。だと言うのに彼の場合はどうだ、根も真っ直ぐでたくさんの人から慕われている。そんな彼を利用するだなんて出来ないし、したくもなかった、これはフェイクでも何でもない本音であった。未だに《C》だったころの話も出してネタにするのは正直言ってやめて欲しいのだが。
    3623

    さらさ

    MOURNINGフォロワーさんのネタをサルベージした一品。二パターンのうちの一個。曰くフォロワーさん的にはこっちがお望みだったようなのでこちらを先にアップ。
    でも本当に様になるねこの男は。

    尚そんなに活躍していない偽名は、私の趣味です(特にローデリヒ)
    踊ってください、愛し君「あれが例のターゲットか」
    「そうみたいだな。さぁて、どうしてやろうか」

     帝国のとある貴族邸にて。一時期帝国とクロスベルを行き来していた偽ブランド商がこの屋敷にて開かれる夜会に紛れてどうやら密談を行うらしい。そこでクロウとリィンには穏便な形での取り押さえるという依頼が舞い込んできたのである。相談した結果、ターゲットが女性である事とクロウ曰く二人そろって見目もいい事から凝った変装は必要ないだろうという事になった。ただリィンの場合は顔と名前を知られすぎているので、一工夫必要だとクロウの手によって好き勝手され。ラウラやユーシス、時間が出来たからと顔を出したミュゼの審査を受けてようやく目的地に辿り着いたのだが。如何せん、そこまでの振り回されたこともあって少々疲弊していた。潜入捜査に男二人は流石に目立たないだろうかとは思ったものの、その手のプロから珍しい事ではないとのアドバイスをもらったので女装させられるよりはましかと腹を括った。
    1996

    さらさ

    DONEリクエストより「クロリンで指輪交換」でした。指輪を交換した勢いで誓ってもらいました。場所が場所だけどね!

    リクエストありがとうございました!
    誓いの環をその指に「買って、しまった……」

     十二月もまだ初旬、たまたま帝都に出たという理由だけで散策して見つけたシンプルな指環。ああ、あいつに似合いそうだと思ってうっかり買ってしまった物だったがこれを渡せる程の関係でもないという事は彼――リィンも分かり切っていた。一応、お付き合いしている関係ではある。だが余りにも空白の時間が長すぎた事、戦後の事後処理に追われて時間が取れない事が相まってしまい未だ実感が湧かないのが現実であった。だからこれは余りにも早すぎるというもので。そっとコートのポケットへと仕舞ったのだった。

    「やべぇ、買っちまった……」

     同時期、別の男もまた同じ事をしていた。たまたま見つけた最低限の装飾しか施されていない指輪。ああ、あいつの指にはめてしまいたいだなんて思っているうちに買ってしまった代物である。お付き合いを始めてそろそろ三か月、今度こそ手を離さないと誓ったものの状況がそれを許さなかった。彼らは別々の場所で必要とされ、帝国内を東奔西走するような日々である。言ってしまえば魔が差したようなものだと、彼――クロウは思う。なんせ相手は天性の朴念仁で人タラシ、所有痕の一つや二つ残しておかねば相手が近寄ってくる始末だ。その状況に頭を抱えていたのは事実だが、かといってここまでするつもりはまだ毛頭なかった。
    1833

    さらさ

    SPUR ME12月12日に出す予定の展示品を尻叩きとサンプルを兼ねて一章丸々アップ。こんな感じのクロリンの話が五感分連続していく感じです。シリアスが続きますがハピエン(にしてみせる!)

    ちなみにタイトルは全て「五感に関する部位のことわざ」を当てはめています。変わるかも。
    医者と味噌は古いほどよい リィンは《黒の工房》から救出されて以来、違和感に気付いた。《巨イナル黄昏》より前に感じ取れていた味が、分からなくなっていたのだ。一か月近く食事をしていなかったこともあり気付かなかったが、しばらく食べているうちにようやくその違和感に辿り着いた。原因は分からないが、相克に向かうこの状況で他の心配事を出来ればリィンは作りたくなかった。だから、黙っている事にした。――目に見えて減っている食事量を前に、既に全員が気が付いているだなんて思わないまま。

    「そういうワケでクロウ、よろしく」
    「いや待て、どうしてそうなる」

    セリーヌとデュバリィに足止めさせて始まる新旧Ⅶ組大会議。答えは出ているも同然だったが、それでも認識の擦り合わせが必要だと集まったのだが。驚く程分かりやすいリィンの事だ、擦り合わせる間でもなかったが。それが分かれば押し付ける先は一つしかない。フィーの直球な言葉にクロウは予想もしていなかった為狼狽えた。リィンは無自覚ではあるが彼に甘える。そしてクロウは彼が甘えてくる自覚はあれど甘えさせているという自覚はなかった。何も自分に持ってくることはないだろうに、それがクロウの言い分だがそれに呆れている様子もまた感じ取っている事もあって困っている。
    3129

    さらさ

    DONEクロリンwebオンリーのエア小話より「内容指定無しの更紗が書いたクロリン」です。
    12月に不安定になっちゃうリィンが今年はしっかりしなきゃと思いながらクロウにメールすることから始まるシリアスクロリン。



    ランディが出てくるのは私の趣味です(書き分け難しかったけど楽しかった)
    慣れぬくらいならその腕に ――冬、か。リィンは仕事が一段落した寮のベッドで、バタリと倒れながらそう思う。《黄昏》が終結してから三度目になるその季節に、そろそろ拭えていい筈の不安がまだ心の奥底で突き刺さっていた。

    「流石に通信は女々しいかな」

    流石に三度目ともなれば慣れなくてはならないと、彼は思う。今は異国を巡りながら情報収集やら遊撃士協会の協力者やらで忙しい悪友を、年末には必ず帰ってくる優しい人を心配させない為に。開いたり、閉じたりしてどうも定まらない思考をなんとか纏めようとする。

    「今年は帰ってこなくても大丈夫だって、言おうかな……」

    移動距離だってそんなに短くないのだ、忙しい時間を自分に割かせるには余りにも勿体無さすぎる。そもそも、帰ってくるという表現さえ正しいのかは分からないが。導力メールで今年は帰ってこなくても大丈夫だという旨だけ書いて送信して、そのまま目を閉じる。通信を告げる着信音がやけに遠く感じながら、リィンはそのまま眠りについた。
    4911