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    さらさ

    思い付いたのを適当に。

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    さらさ

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    前から言ってる余命宣告系ロイドのランロイ
    ロイド余命宣告→ランロイくっつく→ランディにバレる→別れ話
    の順番の予定。ランディがミリも出てこない序章です。続かない(私のデータは続くかもしれないが)
    別れ切り出しても看取ると言って譲らないランディまでは心の中で書きたい。

    「さて、話した通りだが……。私個人としてはこのまま入院を勧める」
    「結果は変らないんですよね?」
    「ああ。だが多少長らえる事は出来るが……どうする、ロイド・バニングス」

     ウルスラ病院のとある診察室。体に不調を覚え一度診て貰おうとやって来たのだが、状況は余りにも深刻だった。彼女――セイランド教授が言うにはそう時間が残されていないらしい。レアケースの病状である事、地下で潜伏していた頃には既に発症していた可能性。そして一部臓器に傷が見られる事を考えると一年持てばいい方だと言う。その上で彼女は問う、どうするのかと。だが結果が提示されている以上、ロイドの答えは一つしか残されていない。最期まで《特務支援課》の一員としてクロスベルの為に足掻き、支える事。その為ならこの命は惜しくないとさえ言える。その事を伝えれば、セイランド教授は呆れたように溜め息をついた。彼女もロイドを知って数年になるが、意思の固さはそれなりに知っていたし聞かされていた。最初から分かり切っていた答えであったとはいえ、医者としてはやりきれないのだが。

    「許可するが、薬は入院しない分増やす、もし倒れるような事があれば問答無用で入院。それが条件だ」
    「こちらが我儘を言う以上は従います」

    残された時間は、余りにも短い。その中でどうするか、ロイドは頭の中で思考を巡らせながらクロスベル市内に戻るバスへと乗った。

     それから数日、全くロイドはいい案が思いつかなかった。大丈夫だろうと思いつつも残す支援課の業務体制や状況を資料としてまとめ、寂しくなるからと自分が作っていた料理のレシピを残し。他にこれと言ってやる事が思いつかなかった。勿論、最後まで出来るだけ《特務支援課》の一員でありたいと思っている。だがいざ余命宣告を前にして、自分の死は全く想像できなかった。

    「悔いのないように、か」

    悔いている事はない。ただ一つ言うのなら、ずっと悩んでいた事はある。――自分の好きな相手に告白するかどうか、だ。終わりが見えている今、告白して叶った所でその相手を置いて行ってしまう事は目に見えているのだ。だが、叶う可能性もないかとロイドは苦笑した。――相手は正真正銘の異性愛者の同性なのだから。

    「ロイドさん、失礼しますね」

    ドアのノックと共に誰かが部屋を訪ねてくる、慌てて処方された薬を隠すと入って来た彼女――ティオにはあからさまに睨まれる。

    「ロイドさん、今何を隠したんですか?」
    「いや、何も……」
    「他の人よりも五感が優れている事、忘れていませんか?ランディさんから借りたグラビアでも引きませんから」

    そうだ、きっと隠した音も扉越しに聞こえていたに違いない。そう思うと、ロイドも白旗を上げざるを得なくなった。彼女が思っている以上に、酷な物を隠していたのだが。

    「それ程まで状況は深刻だって事ですか」

    状況を包み隠さず話して処方された薬もティオに見せた。話を聞いたティオは端的な説明で大体察したらしく、もうロイドが長くない事も悟った。彼女には申し訳ない話ではあるが、覚悟も決めている。だがこれ以上、他の誰かを悲しませたいわけでもない。

    「ああ。俺がいなくても大丈夫だとは思うけど、皆には一応黙っていてくれないか?」
    「大丈夫なわけ、ないじゃないですか……!酷いです、ガイさんもロイドさんも!大切
    だと思っても皆置いて行ってしまうんです!お礼も言えないままに……どうして……」

    そういえば、彼女がクロスベルに来た経緯は兄――ガイ・バニングスだったなとロイドは思い出す。何も知らなかった彼女はガイが亡くなった事を知って生きる意味を問えなくなったのだと過去に言っていた。そして心から感謝している事もロイドは知っている。だから、だろうか。置いて行ってしまうのは少し心苦しい。

    「ごめん、ティオ。俺……」
    「いいえ、ロイドさんを責めても仕方ないのは、分かっていますから」

    だから、という訳ではないがティオは黙っていてくれる事を約束してくれた。知ってしまい、尚且つロイドの意志を尊重する事を決めた以上自分は共犯なんだと言うのだ。そうさせてしまった事は申し訳なかったが、それでも自分のなすべき事は最期まで果たしたいとロイドは思う。

    「ロイドさん、いいんですか?告白しなくて」
    「……ああ。置いていく人間に想われるなんて重すぎるだろう?」

    煮え切らない様子に、ティオも我慢ならないのか黙っている代わりにちゃんと告白しろと言われてしまっては頭が上がらない。だが、玉砕覚悟であるなら。その人にフラれる前提であるのなら話は変ってくる。それなら告白しても重荷にならないかと覚悟を決める。――これが思わぬ方向に転がるなど、思いもしないまま。
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    さらさ

    CAN’T MAKE多分もう書かないと思われるオメガバースランロイの序章を見つけたので私のメンタル維持のためにあげておく

    バース性関係なく一緒にいたいαランディといつか来るだろう未来に諦めを抱いているβロイド


    このあとロイドくんがΩになっちゃっててんやわんやするんだろうなぁと思いつつも断念
     ずっと、思っている事がある。もしも自分がΩだったなら、この不毛な関係にも意味を持たせられたのではないかと。Ωとは第二の性にして産みの性。男女問わず妊娠し、出産する事が出来るのだ。そして対になる性、αと番関係を持つ事が出来る。俺には恋人がいる。ごく一般であるβの俺とは違う、約束された相手がいるはずのαの男だ。俺の心にどうしても惹かれたのだと言われるものの、俺には分かる。この関係にいつか終わりが来る事を。惹かれあう番に、俺が敵う筈もない。もし俺がΩだったとして、番になれるのなら。そんな叶いもしない願いを抱きながらいつか来る終わりに怯えながら今日も一日過ごすのだ。

     ずっと思っている事がある。もしも俺がβだったなら、愛している相手をこんなにも不安にさせなくていいのかと。言葉にはしてこないが、ずっと不安そうにしている事は気付いていた。恐らくそれは、俺の性に関係がある事だろう。俺が惹かれた相手はβだった。βというのは良くも悪くも普通で、実質第二の性がないようなものである。αやΩとは対極にいるような存在で、自分の意思で相手が決められる。俺達は結局フェロモンの匂いに充てられればいとも簡単に相手を変えてしまえるような最低な性だ、そんな相手と付き合っていられる精神性に最早脱帽だった。いつか運命やΩの匂いに充てられて今の恋人を捨ててしまったら。きっと俺は自分自身を殺したい程憎むだろう。仕方ないって笑うあいつの姿が目に浮かぶ。諦念を抱かせる位ならいっそ俺がβになるかあいつがΩになればいいのに。そんな叶いもしない願いを抱いて今日も一日人知れず怯えるあいつの背に歯噛みしながら過ごすのだ。
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    さらさ

    MOURNING遅刻大魔王によるすったもんだクロリンがバレンタインデーにくっついて分校全体に知られるまで。ポイピク練習も兼ねてる舌先の魅惑


    「え、え~!?クロウくんにチョコレートあげてないの!?」

     トワの素っ頓狂な声が、第Ⅱ分校の食堂に響き渡った。七耀歴1208年、2月。もうすぐバレンタインデーだ、食堂やら寮のキッチンを貸し切っての菓子作りに女子生徒たちが浮足立っている。去年の同時期と言えばクロスベル解放作戦当日だ、直接参加した訳ではないとは言えど親しみある教官と生徒が参加するともなればムードもそれどころではなかった。実質、今年が初めてのトールズ第Ⅱ分校バレンタインデーである。男子生徒も一部落ち着かない様子ではあるが、それも今更と言ってしまえばそれまでなのだが。ともあれ、青春では割とお約束のイベントが差し迫ったことを踏まえ、生徒たちの押しに負けて食堂にやってきたリィンなのだが。

    「えっと、俺はクロウとは何もないですしチョコレートもあげてませんよ?」

    という言葉で冒頭に戻る。指し手であるミュゼでさえ予想外だったその回答に、誰もが頭を抱えた。この朴念仁め、は共通の認識であるが故に誰も口には出さないが。

    「で、でもでも!リィン教官はクロウさんのこととても好きですよね!?」

    ここでもユウナから容赦ない一 4406

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
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