ブラック企業時代に調教された自己肯定感爆下がりタンジヨを周りが心配する話。 勝手に脳内で第二部始まった。
無さんは従順な炭しか知らないので、そのままの肯定感爆低わんこタンジヨを可愛いと思ってる。
久し振りに会った善とかに「元気になって良かった!一時期本当に心配してたんだよ。無理矢理でも辞めさせようかと思ってた」
って飲みの席で言われて、いやあ良かった良かった、って話してた。
🎴「ありがとう。心配かけてごめんな。あっそうだ、俺今度結婚するんだけど、招待状送って良いか?」
⚡️「え〜全然良いよ!むしろ頂戴よ!えっ?結婚?ヘェ〜〜…………結婚!!??????」
寝耳に水。
どういうこと!!??って根掘り葉掘り聞いて、パワハラ時代〜ホワイトへ〜結婚までを掻い摘んで話した。
その間⚡️は頭痛が痛いみたいな顔して、でも口挟まず聞いてた。
⚡️「大体事情は分かったけど、まあ、パワハラについてはまたじっくり聞くけど、えっ?取り敢えず何?その👹って人と付き合って、すぐ結婚?あー、🎴が好きならおめでとうって感じだけど……えっ?🎴は👹さんのこと好きになって付き合って、結婚したいんだよね??」
って確認する。🎴は優しく微笑んで、
🎴「こんな出来損ないの俺なんかのことを、好きって言ってくれる人が居るなんて思わなかったんだ。すごく嬉しくて……その気持ちに応えたいんだ」
って言う。それを聞いて、微妙な顔をする⚡️。
⚡️「出来損ないって何?ていうかつまり、好きではないってこと?」
🎴「👹さんのことは好きだよ。仕事ができるし、理不尽なことも言わないし、俺のこと大切にしてくれてる」
⚡️「それって愛なの?」
愛、って言われて🎴が黙る。
⚡️「なんか、まだお前のこと心配だよ。そんなこと言う奴じゃなかっただろ?一回、👹さんの気持ちにちゃんと向き合ってみたら……?」
って言われて、冷たいジョッキを両手で包んで、下を向いて黙る🎴。
家族にも同じこと言われる。
ほんで、周りの矛先が👹に向く。
お兄ちゃんがこんな状態になったのは何で?パワハラ上司のせいだとしても、この自己肯定感の低さが治らないのは何故?👹はこんな状態のお兄ちゃんを良しとしてるの?って具合に。
なので、カマド家に挨拶に行った際も何か冷ややか。お母さんだけはちゃんと普通に接して、👹から話を聞こうとする。
でもそもそもの🎴への理解がすれ違ってるので(家族はハツラツとした炭・👹は大人しく従順な炭)「宅の息子さんは本当に慎ましやかで……」みたいな話したときに、流石にお母さんもピキる。
話終わりに母ちゃんが「🎴を👹さんにお任せすることは出来ません」ってキッパリ言う。眉間に皺寄せる👹と、顔を青褪めさせる🎴。それを見て、「もっと互いのことを知ってください。互いに愛し合っていることが確信出来たら、ぜひまたいらしてください」今日のところはこちらでお引き取りください、って深々お辞儀して、解散。
無の運転する車の助手席に、紙のような顔色で座る🎴。外は雨が降っていた。ワイパーの窓を擦る音だけが、規則的に鳴る。
🎴「……すみ、ません。俺の家族が……失礼なことを……」
👹「……それは構わない。すぐに認められない可能性も考えていた」
それは本当だった。だけど、お母さんの言った言葉が引っかかる。こんなに顔色を悪くして、まるで全ての責任を背負っているような🎴の顔にも。
👹「タンジヨ」
🎴「は、はい」
👹「私を愛しているか」
🎴「……っ、は、はい」
即答出来なかったのは、⚡️の言葉が浮かんだからだった。あれから👹との関係、自分の気持ちについて考えてた。求められるのは嬉しい。それに応えたいと思う。それじゃあ駄目なのか?答えは出ないままだった。「愛している」が何か、分からなかった。
👹「……そうか」
そのままその日は🎴のアパートまで送って、解散した。
以降、会う頻度が減る。家へ行くことも殆ど無くなった。営みは皆無。
怒らせてしまったんだ、ってウジウジしながら過ごす🎴。
あまりにも落ち込んだので、仕事でデカめのミスをした。発覚してちょっとした騒ぎ。慌てて皆各所へ走る。🎴もうサーッと血の気が引いて心臓が凍り付いたみたいになって、ガタガタ震える。急いで挽回しようとした矢先、👹がちょうどやって来る。もう目も合わせられない。とにかく現状報告しなきゃ、って震えながら説明して、ひたすら謝る。
👹「私に謝る必要はない」
🎴「っ」
👹「状況は分かった。後はこちらでやる」
ああ、もう必要とされないんだ。謝ることすら許してもらえないなんて。ってこの世の終わりの顔する🎴。周りもそのミス挽回するためにめちゃめちゃ忙しく動く。辛すぎて心死んでるけどもう涙も出なくて、とにかく自分も挽回のために走った。辞表書こうと思った。
夜中までかかったけど、全員の働きにより何とかなった。
もう消え入りそうになりながら、事務所の全員に地面に頭つきそうなくらい頭下げて、
🎴「誠に……申し訳ございませんでした……皆様に、多大なるご迷惑を……」
もう泣きそう。しばらく頭下げてたけど、側にいたモブ田が🎴に近づいて、「あの、頭上げてください。やめてくださいそんなこと」って言う。
それを聞いて、ああ皆にも許してもらえないのか、と思って顔を上げた🎴が見たのは、苦笑するモブ田の顔だった。
モブ田「🎴さんに謝られたら、僕らが申し訳なくなりますよ。僕ら皆、🎴さんがメチャメチャ仕事手伝ってくれたり、ミスのカバーしてくれた恩があるんですから。むしろ🎴さんもミスするんだってホッとしたくらいです……あ、これ失礼かな、すみません。とにかく、🎴さん責められる人間なんてここには居ないですよ」
って笑顔で言う。事務所を見渡せば、怒った顔してる人は居なかった。むしろ和やかな雰囲気。
そんなこと言われると思ってなくて、叱責されて罵倒されるのが当然だと思ってた🎴、突然胸に熱いものが込み上げてボロリと涙が溢れた。とうとうと頬を流れ続けるそれに、モブ田が気付いてワタワタする。「えっな、泣かないでください🎴さん!これハンカチ……だ、誰か!👹さん読んできて!」言うて背中摩ってくれる。
すごく申し訳なくなった。なんてことを考えていたんだ。こんなに優しい人達だったのに、俺は勝手に、この人達に罵倒されると思っていた。あの上司みたいに。それはなんて、失礼なことだろう。
謝りたいし早く涙止めたいのに、喉が詰まって何も言えなかった。一番、お礼を言いたかった。
それからすぐ慌ただしい足音が聞こえて、後ろからバサッとジャケット掛けられた。びっくりして振り返ったら、眉を寄せた👹がベスト姿でそこに居た。
さり気なく腰引いて前に出て、事務所の皆に「お前達、良くやった。残業申請はきちんとしろ。それから、先方と改めて話をしたら単価が上がった。賞与に期待しておけ」言うて事務所に歓声が上がる。流石っす!一生付いていきます!っていう声を背に受けながら、🎴の肩を引いて事務所を後にする。
🎴の涙はまだ止まらなかった。謝りたいし、何よりお礼が言いたいのに言えなくて、もどかしくてまた涙が出る。手を引かれるままに無の車に乗って、久しぶりに無のマンションに入った。ジャケットを羽織ったまま、ソファに座らされる。もう涙は止まってたけど、喉が張り付いて上手く喋れなくて、何も言えなかった。
無も黙ってキッチンに行って、あったかいコーヒーを淹れてくれた。砂糖とミルクが🎴好みに入っている、優しい甘さのそれを一口含んで、やっと少し心が落ち着いた。
隣に座って一緒にコーヒー啜る無に向き直る。
🎴「この度は、ご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした」
👹「……だから、謝るなと」
🎴「そして、本当に、ありがとうございました。👹さんと、皆に助けられました。辞めさせられても、おかしくないと思ったのに」
👹「部下がミスをしたら、それをフォローするのが上司の役目だ。いらない人材などはなから雇っていない。お前がすべきは謝罪ではなく、反省だ。……それは十分しているだりう。同じことを繰り返さなければそれでいい」
🎴「……👹さんに優しくされる度、もっと、それを返さなきゃ、大した仕事も出来ないんだから、人一倍、頑張らなきゃって」
👹「私を侮るな。仕事に私情を持ち込むものか。お前も分けて考えろ」
🎴「…………」
👹「分けて考えれば、私への思いは無くなるか」
🎴「そんなことっ……!」
👹「無いと言い切れるか」
🎴「っ!初めはっ!恩を返さなきゃ、もっと役に立たなきゃ、って思いでいました。けど、👹さんが俺に想いを伝えてくれて、俺、分からなくなって……こんな俺を好きになってくれる人がいることが、嬉しくて舞い上がってるんじゃ無いかって」
👹「…………」
🎴「でも、今日分かった気がしたんです。いいえ、本当はずっと前から、あなたに惹かれてた。だから、想いを告げられた時、すごく嬉しかった。舞い上がって、顔も見れなくなった」
🎴「それに、『こんな俺なんか』って思うのは、俺を好きになってくれた👹さんに対して、失礼、っていうか……ええと、ごめんなさい、要領を得ませんね……」
無は、炭の頬に指を伸ばして、乾いた涙の跡を指で擦る。
👹「いいや……、お前がそう思えるようになることを、多くの者が望んでいた。勿論、私もだ。そもそも気づくのか遅い。この私がプロポーズしたんだぞ。お前はもっと己の価値を知れ」
むみ、と最後に頬を摘まれて、「いひゃい、あえひゃいです」って言いながら、何だかおかしくなってきて二人して笑いながら戯れた。
お腹もくすぐられてきゃっきゃした後、やっと解放される。緩んだ空気の中、でもこれだけは伝えなきゃ、と思って、🎴は👹の手を取る。
🎴「でも、今あなたに想いを告げれば、仕事の延長であなたへの感謝をすり替えているような気がしてしまう」
👹「私はそれでも構わない」
🎴「俺は嫌です」
👹「頑固だな」
🎴「そうです、頑固なんです。俺、👹さんが思うほどおしとやかじゃないし、本当は石頭だし、従順なんかじゃないんです」
👹「それでもいい」
🎴「ほんとに?」
👹「ああ、惚れた弱みだ。例え傲岸不遜、傍若無人に振る舞おうとも、その程度では嫌いになれないな」
🎴「それはあなたです……」
👹「言うようになったな。そんな私は嫌いか?」
悪戯っぽく笑う無に、🎴は真摯な顔で見つめ返す。
🎴「……好きです。あなたが、好きです。あなたから離れるのが怖いです。触れられないと残念に思って、少しでも顔を見られれば嬉しくなります。会えない時は、あなたの顔を思い浮かべています。
愛が何かはまだ分からないけど、俺は、あなたのそばにいたい」
👹も、🎴の目を見つめ返す。その瞳がもう揺らいでいないのを確認して、頬に手を伸ばした。
👹「……私も、同じ思いだ」
🎴の頭を抱き寄せて、そのこめかみにキスをする。🎴は再び滲んだ涙を隠すように、👹の胸に抱きついた。嬉しくて、幸せが溢れて、ずっとこうしていたいと願った。
それが愛と知らぬまま。
後日ちゃんと愛だと自覚した🎴が「愛しています」ってほわっと笑いながら幸せそうに告白し直すので、朝台所のゴミを纏めていた無さんが「何も今じゃなくても」って落ち込んだゴールデンレトリバーみたいな顔するし、その日のうちに竈門家行って赤飯食べる。