魏嬰が惚れた瞳「藍湛!それに触るな!」
愛しい彼の声が遠くで聞こえた。気づけばどこもかしこも真っ白だった。遠くに腕輪ほどの小さな円がある。その奥には腕を伸ばす魏無羨と、驚いた表情をしている叔父が見えた。
魏無羨の腕をつかみ返そうとした瞬間、景色が変わった。
「藍湛…?」
次に見えたのは山盛りの大根が入った木製のカゴを持った背丈の高い男性だ。
忘れもしない。20年以上恋焦がれた相手の顔なのだから。
雫が水面を叩く音がした。ここは洞窟の中のようだ。
「藍湛なのか?ちょっと会ってない間に随分大人びたな」
なぜこうなったのか、キャッキャと楽しそうに己の上半身に触れてくる魏無羨をひたすらに見つめながら、己の現状を顧みる。
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―――少し前。
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