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    haru55machi55

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    まつくわのメモ。合理の桑名と感情のまつい。

    いつも怪我すると、手入れが入る前に上着を脱いでクリーニングに出すまつい。修理もできない時は、手入れの前に何かを剥がしている。
    返り血は浴びても切り傷は滅多に作らないまついが、珍しく腕一本持ってかれて帰ってきた。担架で運ばれている時にうわごとで何か言っているけど、分からない。なぜか上着を離そうとしなかった。
    手入れで寝ている間に袖が千切れた上着が綺麗に元通りになってて大暴れ。「ない」「なくなった」と騒いでいる。どうしたのとくわわがなだめに行く。「破れた服よりもまついが大事でしょ。治ってうれしいよ」と言われて激昂。
    「花の刺繍を覚えているか」と問われて桑名は答えられない。そしたら、「僕の大事なものは僕だけじゃない。お前には絶対にわからないだろうけれどね!」と障子をぴしゃりと閉ざしてしまった。まついに「お前」と言われることがあまりなかったのでびっくり。一瞬見えたまついの涙。だけど理由が分からない。
    あれはいつの日か怪我をして、くわわに裾を繕ってもらった上着。矢傷で穴が開いた所に布をあてて、応急処置だよと言いつつ青い花を縫ってくれた。やたら下手くそで、桑名のくせにかわいい花なんか縫うからおかしくて、でもとても嬉しくて、絶対に手入れ部屋に入れたくなかった。治ったら消えてしまう。なかったことになってしまう。切り取って、上着に縫い付けていた。だから汚れて上着を破棄する時は必ず剥ぎ取って付け替えていた。
    血を求めて切込隊長みたいな事をやっていたら怒られた。怒ってくれた。あれと一緒にあることが大切だった。あの日の桑名との思い出は二人のものだ。確定した、不滅の記憶だ。
    なのに、桑名はある日ほとんど折れる寸前で帰ってきて、全部無くしてしまった。
    今までの記憶。楽しかった事、辛かった事。
    あの花の刺繍をしたこと。
    まついはあれがあったから、自分をちょっとだけ大事にしようと考えを改めたのに。
    記憶の連続性と蓄積と因果というものの重要性を、桑名は分かってない。ふりをしている。「繰り返し使える」刀剣男士としての在り方で割り切ろうとしている。
    だから、仲間を生かすために、簡単に自分を使ってしまえる。それが気に食わない。歯痒い。
    僕の大事なものは僕だけじゃない。それがあいつには分からない。合理的で正しい判断がどれだけ残酷か。
    お前は僕から「あの日の桑名」を奪ったんだぞ。
    未来に繋がる今を大事にするくわわと、今を作った過去を大事にするまつい。
    どっちを大事にすることも必要なはずだけど、比重の問題で合理と感情という概念に分かれて、ついけんかしがち。相容れないんじゃなく「相手のそれ」をもっと大事にして欲しいという思いやりのぶつかり合い。
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