ずっとバナサではある 小僧が結婚をしたのは今から四十一年前、やつが二十七のときだった。
プロポーズは小僧の方からで、相手はエマという名の小僧より三つ下の娘。小僧の行きつけのコーヒーショップに勤める一般人だった。容姿は飛び抜けて美しかったわけじゃないものの、快活で子犬のような性格をしていて愛嬌があった。その人懐こい性格が小僧の心を惹きつけたんだろう。おれもエマを気に入っていたから、彼女の魅力はよくわかる。
出会ってから二年。ふたりの式はひかえめに、厳かに行われ、当然このおれもその場に出席した。見知った顔だけを集めた、ささやかで幸せな結婚式だったのを今でもよく覚えている。
子どもには恵まれなかったが夫婦仲は良好で、来月には四十二回目の結婚記念日を睦まじく祝う予定だった。
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