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    hoshiokaoka

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    hoshiokaoka

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    ちっちゃくなったオーエンが、カインを巻き添えにして2人でみんなから隠れる話……が書きたかった(途中)

    物陰に隠れながら、なんか楽しくなってきちゃうカインとかがいると思います!!書けなかったけど……!!

     魔法舎の中庭。植え込みの陰に隠れて、オーエンは湿った土に尻をつけて膝を抱えていた。遠くで自分を呼ぶ声に耳をすませながら、じっとしている。靴先を見つめながら、なんとなく、自分はかつて長い間こうしていたような気がした。
     オーエン、と名前を呼びながら、コツコツとブーツの音が近づいてくる。オーエンは身動きせずに声が通り過ぎるのを待った。しかし、気配はそのまま近づいて、がさがさと植え込みをかき分け始めた。

    「あ! こんなところに隠れてたのか、オーエン」

     草葉をかき分けて、太陽を背に現れた男が落とした陰は、オーエンの身体をすっかり隠した。膝を抱えたまま、オーエンはジロリと男の影を睨み上げた。

    「なに、騎士様。僕を双子に突き出そうってわけ」
    「突き出すわけじゃないが……、そんな状態で1人でいたら危ないだろ。みんなのところに行こうぜ」

     な? と微笑みながら、カインは手を差し出した。蜂蜜色の瞳が自分をやわらかく包み込もうとするような心地がして、オーエンは身震いした。冗談じゃない。そんな目で見られてたまるか。オーエンはその手を素早く叩き落とそうとした。だが触れた瞬間、そのまま大きな手のひらにぎゅっと握られる。

    「あはは、捕まえた! 小さな手だな、かわいい」
    「なんなの、最悪」

     舌打ちして、手をぐっと引いて逃れる。力を加減しているようですぐに離された。やれやれと、地面に片膝をつけてカインが目線を合わせてくる。

    「どうして隠れているんだ? 双子先生のおやつを勝手に食べたのを怒られるのが嫌なのか? それとも、おやつにかけられていた魔法で小さくなっちまった姿を見られるのが嫌か?」
    「別に。そんなもの怖くない」

     威圧してやるつもりで睨みつけたが、カインには全く応えていないようで柔和な目を向けられる。こういう態度を取られるから、正直小さくなった姿を見られることについてはまあまあ嫌だった。オーエンは空を仰いでうんざりとため息をついた。
     スノウとホワイトのおやつのチュロスを勝手に食べたオーエンは、横取り防止としてかけられていた魔法によって、人間で言う9歳くらいの少年の姿になっていた。おまけに魔法も使えない。そのまま双子に存分に可愛がられそうになったオーエンは、からがら魔法舎から逃げ出して、中庭の隅に隠れていたのだった。どうやら魔法舎中に言いふらされたようで、気にかけた魔法使いたちがオーエンのことを探している。目の前の男もその1人らしい。
     別に、双子のお仕置きなんて怖くない。オーエンが嫌なのは、魔法が使えない状態で弱い姿でいるところを、他の誰かに見られることだった。弱い姿を侮られても、魔法が使えればすぐに思い知らせてやれる。しかし、今のオーエンにはそれができない。みくびられ、侮られて、仕返しもできないくらいなら、そんな屈辱を味わうよりも死んでしまったほうがずっといい。いっそ一度死んでみようか、とオーエンが考えたところで、カインがふと中庭の向こう端へ視線を向けた。

    「あ、双子先生だ。おーーい……、っ痛!」
    「馬鹿じゃないの、何呼んでるんだよ!」
    「蹴るなって……お前だって、ずっとそのままの姿でいるわけにいかないだろ? 一緒に行ってやるから、双子先生にあやまって魔法を解いてもらおうぜ!」
    「絶対に嫌」
    「わがまま言うなって……あ、こら」

     このままここにいるのはまずい。そう思ってオーエン立ち上がったオーエンの手を、再びカインが捕まえた。力は強くないが、今度はオーエンがぶんぶん腕を振っても振り払えない。

    「ふざけるなよ、離して」
    「一人になっちゃ危ないだろ。まだ謝る気にならないならそれでもいいが、俺も一緒にいる」
    「うるさい、お前がいると目立つんだよ」
    「それでも、お前を放っておけない」

     なかなか手を離さないカインにオーエンは焦燥してきた。こうなるとカインは折れないし、こうしている間にも双子がこっちに来るかもしれない。今の状態では力尽くでカインを引き離すことはできないし、かといってカインと一緒にいればすぐに見つかってしまうだろう。どうしたものか、と咄嗟にポケットに手を入れると、チュロスの入った包みがあった。2つあった双子のチュロスの片方を、食べないままポケットに入れてあったのだ。

    「……わかった。騎士様、屈んで」
    「ん、こうか?」

     カインがオーエンの背丈に合わせて腰を屈めているうちに、オーエンは片手でチュロスの包みをかさかさと解いた。
     
    「口開けて」
    「口? あー…………んむッ」

     チュロスを口に突っ込むと、カインは不思議そうにむぐむぐと口を動かした。

    「……シナモンか? 悪いけど俺、あんまり好きじゃな……っ!」

     ぽふ、と栓を抜いたような音が鳴って、オーエンの手を捕まえていた力が軽くなった。きょとんとしたカインが、丸い目で、オーエンと同じ小ささになった自身の手を見つめる。

    「……あれ? あっ! お前まさか今の!」
    「行くよ、ほら」
    「こら、オーエン! わっ、待てって!」

     チュロスの魔法でオーエンと同じ年頃の姿になったカインの身体は、簡単に引っ張ることができた。2人分の小さな足音を鳴らして、オーエンは新たな隠れ場所を探して中庭を駆けていった。




     

     
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