ある日の1ページ□□□ある日の1ページ□□□
「あーあ、つまんないっ!」
机に投げ出された足が、山になっている書類を散らかしていく。
もちろん、犯人は声の主だ。
「…….仕事を増やすな、ユフィ。」
「だってさ、もう3日も机と書類相手でつまんないよっ!ヴィンセント、どっかに連れてってよ。」
ぷくーっとほっぺを膨らましながら
いつものように駄々を捏ねる。
「なぜ私が。」
「アンタならすいすいーっと空飛んでいけるじゃん?アタシくらいほほいと抱えて行けんでしょ?」
いつもの事だが、だいぶ素っ頓狂な事を言うものだ。
「悪いが、私もお前と同じで書類任務がある。
そんな不真面目な理由で気晴らしなどする気はない。」
冷たく言い払うと
ユフィは少ししょげた顔をする。
本当に、表情のコロコロ変わる奴だ。
「あっ!いま笑ったろ!アタシの事子どもかって!!」
自覚はなかったが、笑みが顔に出ていたようだ。
全く、ユフィといると調子が狂う。
「・・・わかった。仕事が終わったら
連れて行ってやろう。それでどうだ?」
言うとまた、ころっと表情を変えて嬉しそうにする。
「やった!!さすがヴィンセントだね!しゅしゅしゅっ!アタシに任せといて!こんな仕事すぐ片付けてやるんだから!」
いつもの得意の動きでユフィはやる気を示すと、机に向かいだした。
「どちらかというと保護者のような感覚な気もするが…どうしてだろうな…」
「んん?なんか言った?」
ユフィが私の方を見る。
私はフルフルと首を振ってやった。
(お前がほっとけないのはそれだけではないんだがな)
そう、心で唱えたヴィンセントだったが
その表情が穏やかな笑みだった事を本人は気づいてはいなかった。
fin