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    skkcoffee

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    五条から突然の質問を受け、色々考えたり、腹が立ったり、戸惑ったり、決心したりする恵の話。
    設定:原作から約3年後、恵が4年生の頃(19歳)、五条が32歳。

    好き。「恵は…僕のこと、好き?」

    この人にまったく合わない言葉だとわかっているが、今俺に向けているこの表情を見ると、『あどけない』という言葉が思い浮かんだ。無邪気で、かわいい。出会ってからもう10年以上ゆうに経っているが、この人の顔と中身はあまり変わっていない。
    好き…
    子供の頃はよくいじわるをされていたし、うるさいだのひどいだのと思っていた。でもまあ、一応恩人でなんだかんだ面倒見もいいし、本当に悪いことなんか俺と津美紀には一度もしたことないから、この人のことがきらいだとか俺は思ったことはない。ぶん殴りたいと本気で思ったことはたくさんあるが。
    好き…
    そしてつい最近自分が気づいたのは、俺がこの人だけに抱いている特別な感情の意味。
    なのにもう、この人に見透かされているようで…くそ。昔からこの人に隠し事をするのが難しかった。何なんだ六眼って、心の中まで見れてるのかよ。『これ』だけは絶対言わないと決めたのに。

    「めぇぐみぃ」顔を少し近づけて、名前をやさしく呼ぶ。俺の気に入っていない下の名前が、この人はけっこう好きらしい。
    ああ、腹が立つ。きれい。近い。今、目隠しもサングラスもしておらず、しかも無下限を解いている。自分の顔が熱くなるのを感じる。腹が立っているからじゃなくて。チッ。

    「…アンタこそ、俺のことどう思って、」
    「好き」
    は?
    「好きだよ。恵が思ってるよりずっと。好き、だから」

    この人…3回も言った。ちょっと待って、情報が完結しない。好き。二文字。すき。俺の気持ちを知ってからかうつもり?……いや。俺は六眼を持っていなくても、目の前のまっすぐな青い瞳にうそは欠片もないと充分わかる。くそ、心臓の音がうるさい。

    「…そ、そうですか…」としか返さなかった。いや、返せなかったのか……。
    「もー、そうですかじゃないでしょう」唇を尖らせながら少しだけ離れた。13年も年上で、身長も190センチ以上あるというのに、この人が本当にかわいい…って今それどころじゃない。
    「恵、僕に言いたいことあるんじゃない?」
    言いたくない。あんたはいったい何が聞きたい。
    「言っとくけど、僕の好きは先生とか保護者としてとかじゃないから。家族愛でもない、あ、でも恵と入籍したら家族になるよね~あ、僕たち入籍できるんだっけ?うーん、まあとにかく僕は恵と結婚、」
    ああもううるさい。何恥ずかしいこと言い出してんだこの人、と思うと胸ぐらをつかんで次の瞬間――
    その口を俺の口で塞いだ。


    好き…


    唇を離し、顔を見る。丸くなった青い目が、俺の目と合った。普段ならあまり見られない顔だ。
    「めぐ…み?」肌が白いからだんだん赤くなるのも見える。ふーん、この人に不意打ちを食わせたら、こんな顔をするんだ。きれい。
    ああ、わかりましたよ。言えばいいんでしょう、言えば。手をゆっくり伸ばして赤に染まった頬をそっと撫でてみる。さっきまでは腹が立っていたのに。今はたまらなく愛しくて口元が緩んでしまう。

    「好きです。五条さん、俺と付き合ってください」
    五条さんは丸く開いた目をさらに開かせた。だが、今度は驚いているわけではなく、きらきらと瞳を輝かせている。
    「恵ぃぃ!男前すぎる!♡~」とまぶしい笑顔で俺をぎゅっと抱きしめる。


    ああ、本当に、好きだ。

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