青い冬 ホイッスルが鳴り響く。短く、短く、長く。歓喜と落胆と、なんだかわからないため息が、一緒くたになって冬の空に溶けていく。
負けた。敵のチームは狂喜乱舞して、抱き合っている。高校サッカーの集大成、冬の選手権の準決勝、上には上がいる。大会で負けないのはたった一校だ。
主将の月島は荒れたフィールドにひっくり返って空を仰いだ。この荒れ具合は、どれだけゴール際での戦いが激しかったかを物語っている。DFの月島の戦場だ。
東京は冬でも晴れると聞いていたが、こんなにもスコンと真っ青ではるか彼方まで見通せそうな空は初めてだと月島は思った。
生まれ故郷の新潟の冬の空は大抵曇天で、雪も降ればまず見上げるなんてことはしない。スカウトしてくれた高校のある旭川もそう変わらない。外に居ればたちまち睫毛まで凍る。自分は坊主だからそんなことはないが、鯉登は髪も長いから凍って痛いとよく月島の元に逃げ込んできた。
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